
経過勘定とは
経過勘定とは、『現金の支払いや受け取り』と『収益や費用の計上時期』がズレたときに修正するための勘定科目です。経過勘定には、「未払費用」「前払費用」「未収収益」「前受収益」の4つの勘定科目があります。
経過勘定は初めて学習すると難しく感じる内容ですが、ゆっくり理解すると少しずつわかるようになってきます。焦らず、一つ一つ理解していきましょう。
未払費用について
今回は現金の支払いと費用の計上時期がズレたときの未払費用について、みていきましょう。
<例題>
X1年8月1日に駐車場を借りる契約を結んだ。代金はX2年7月末日に1年分120,000円をまとめて現金を支払うこととした。当期はX1年4月1日からX2年3月31日までの1年間とする。
<当期の仕訳>
X1年8月1日
仕訳なし
X2年3月31日
| 支払地代 | 80,000 | 未払費用 | 80,000 |
<翌期の仕訳>
X2年4月1日
| 未払費用 | 80,000 | 支払地代 | 80,000 |
X2年7月31日
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
<解説>
まず、簿記の基本である『取引を記録するために仕訳を書く』に沿って考えましょう。
『取引』というのはこれまで見てきたように商品や現金、固定資産などの受け渡しを指します。
X1年8月1日
簿記では、契約を結んだだけでは仕訳を書きません。商品や現金の受け渡しをしないからです。
X2年7月31日
❶駐車場を借りた代金として120,000円の現金を支払ったので、仕訳が必要です。駐車場を借りたので、支払地代が発生します。支払地代は費用の勘定科目でホームポジションは左です。

支払地代が増えるので、左に書きます。
| 支払地代 | 120,000 |
❷現金が減るので、右に書きます。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
さて、取引を記録するために必要な仕訳はこれだけです。しかし、下の図を見てみると、この仕訳だけではおかしいことに気付きます。

当期のX1年8月1日~X2年3月31日の8か月間、駐車場を借りているのに、仕訳の支払地代はX2年7月31日に1年分120,000円が計上されています。
これでは、当期末X2年3月31日に作成する損益計算書に支払地代(費用)が記載されません。当期に駐車場を借りている期間があるのに、当期に支払地代(費用)が計上されないのは実際の状況に合っていません。
そこで、実際の状況に修正するため、経過勘定の仕訳が必要となります。
『現金の支払い』と『費用の計上時期』がズレているので、経過勘定で調整します。X1年8月1日から再度見ていきます。
X1年8月1日
契約を結んだだけですので、仕訳を書きません。
X2年3月31日
❶当期のX1年8月1日~X2年3月31日の8か月間、駐車場を借りているのに、これまで支払地代について何も仕訳を書いていません。決算で経過勘定の仕訳が必要です。
❷当期の支払地代8か月分が発生しているので、支払地代を増やします。支払地代は費用の勘定科目でホームポジションは左です。

支払地代が増えるので、左に書きます。
| 支払地代 | 80,000 |
❸当期の支払地代8か月分はまだ支払っていない、つまり未払いの状況です。費用が未払いなので、経過勘定の一つである「未払費用」を使います。
未払費用は『まだお金が支払われていないため仕訳を書いていないが費用は発生している』場合に使う勘定科目です。未払費用は負債の勘定科目でホームポジションは右です。

未払費用が増えるので、右に書きます。
| 支払地代 | 80,000 | 未払費用 | 80,000 |
当期の仕訳はこれで完成です。経過勘定の決算整理仕訳を書くことで、当期の8か月分の支払地代の金額が損益計算書に記載され、当期の費用の状況が実際と合います。このように、支払地代の金額が正しくなるように調整しているのです。
次は翌期の仕訳を見ていきましょう。
X2年4月1日
X1年8月1日~X2年3月31日の8か月間駐車場の支払地代は、X2年3月31日に計上済みです。
X2年7月31日に1年分の支払地代120,000円が計上されますが、本来はX2年4月1日からX2年7月31日までの4か月の支払地代が正しい状況といえます。
そこで、経過勘定については、期首に再振替仕訳を書き、支払地代が正しい金額になるように調整します。具体的には、X2年3月31日の仕訳の逆の仕訳を書きます。
❶左に書いた支払地代を、逆側である右に書きます。
| 支払地代 | 80,000 |
❷右に書いた未払費用を、逆側である左に書きます。
| 未払費用 | 80,000 | 支払地代 | 80,000 |
X2年7月31日
❶駐車場を借りたので、地代を支払います。支払地代が増えるので、左に書きます。
❷現金が減るので、右に書きます。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
翌期の仕訳をまとめてみると、次のようになります。
| 未払費用 | 80,000 | 支払地代 | 80,000 |
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |

支払地代の残高は120,000-80,000=40,000となり、4か月分の支払地代の金額となっています。このように、経過勘定については期首に再振替仕訳を書くことで支払地代の金額が正しくなるように調整しているのです。
前払費用について
今回は現金の支払いと費用の計上時期がズレたときの前払費用について、みていきましょう。
<例題>
X1年8月1日に駐車場を借りる契約を結んだ。代金は契約時に1年分120,000円をまとめて現金を支払うこととした。当期はX1年4月1日からX2年3月31日までの1年間とする。
<当期の仕訳>
X1年8月1日
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
X2年3月31日
| 前払費用 | 40,000 | 支払地代 | 40,000 |
<翌期の仕訳>
X2年4月1日
| 支払地代 | 40,000 | 前払費用 | 40,000 |
X2年7月31日 仕訳なし
<解説>
まず、簿記の基本である『取引を記録するために仕訳を書く』に沿って考えましょう。
『取引』というのはこれまで見てきたように商品や現金、固定資産などの受け渡しを指します。
X1年8月1日
❶駐車場を借り、代金を契約時に支払うので、支払地代が発生します。支払地代は費用の勘定科目でホームポジションは左です。

支払地代が増えるので、左に書きます。
| 支払地代 | 120,000 |
❷現金が減るので、右に書きます。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
X2年7月31日
簿記では、契約が終わっただけでは仕訳を書きません。商品や現金の受け渡しをしないからです。
さて、取引を記録するために必要な仕訳はこれだけです。しかし、下の図を見てみると、この仕訳だけではおかしいことに気付きます。

当期に仕訳の支払地代は1年分120,000円が計上されています。しかし、実際にはX1年8月1日~X2年3月31日の8か月間駐車場を借りています。8か月分の支払地代が計上されているべきなのに、仕訳では1年分の支払地代が発生しているのは実際の状況に合っていません。
そこで、実際の状況に修正するため、経過勘定の仕訳が必要となります。
『現金の支払い』と『費用の計上時期』がズレているので、経過勘定で調整します。X1年8月1日から再度見ていきます。
X1年8月1日
❶駐車場を借り、代金を契約時に支払うので、支払地代が発生します。支払地代は費用の勘定科目でホームポジションは左です。

支払地代が増えるので、左に書きます。
| 支払地代 | 120,000 |
❷現金が減るので、右に書きます。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
X2年3月31日
❶当期のX1年8月1日~X2年3月31日の8か月間、駐車場を借りているのに、今のところ1年分(12か月分)の支払地代が計上されています。決算で経過勘定の仕訳が必要です。
❷支払地代のうち12か月-8か月=4か月分を取り消すので、支払地代を減らします。
120,000×4か月÷12か月=40,000
支払地代は費用の勘定科目でホームポジションは左です。

支払地代が減るので、右に書きます。
| 支払地代 | 40,000 |
❸当期に取り消した4か月40,000円は、翌期X2年4月1日~X2年7月31日分の支払地代を当期に前払いした状況です。費用が前払いなので、経過勘定の一つである「前払費用」を使います。
前払費用は『お金を支払ったときに仕訳を書いていたが翌期の費用を含めて計上した場合』に使う勘定科目です。前払費用は資産の勘定科目でホームポジションは左です。

前払費用が増えるので、左に書きます。
| 前払費用 | 40,000 | 支払地代 | 40,000 |
当期の仕訳はこれで完成です。当期の仕訳をまとめてみると、次のようになります。
| 支払地代 | 120,000 | 現金 | 120,000 |
| 前払費用 | 40,000 | 支払地代 | 40,000 |

支払地代の残高は120,000-40,000=80,000となり、当期の8か月分の支払地代の金額となっています。このように、経過勘定については決算整理仕訳を書くことで支払地代の金額が正しくなるように調整しているのです。
次は翌期の仕訳を見ていきましょう。
X2年4月1日
期首に再振替仕訳を書き、X2年4月1日からX2年7月31日までの4か月の支払地代が正しい状況になるように調整します。具体的には、X2年3月31日の仕訳の逆の仕訳を書きます。
❶右に書いた支払地代を、逆側である左に書きます。
| 支払地代 | 40,000 |
❷左に書いた前払費用を、逆側である右に書きます。
| 支払地代 | 40,000 | 前払費用 | 40,000 |
X2年7月31日
契約が終わっただけなので、仕訳を書きません。
翌期の仕訳をまとめてみると、次のようになります。
| 支払地代 | 40,000 | 前払費用 | 40,000 |
支払地代は40,000となり、4か月分の支払地代の金額となっています。このように、経過勘定については期首に再振替仕訳を書くことで支払地代の金額が正しくなるように調整しているのです。
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