どうやら、簿記2級で「なんたら」が範囲になったと聞いたんだけど。
えっ?債権の譲渡のこと?
そう、それそれ。難しいの?
これは簡単だから、安心してね。詳しく説明するね。
債権の譲渡とは
当社の売掛金などの債権を他の会社に譲り渡すことを債権の譲渡といいます。債権の金額と回収した金額に差がある場合、債権売却損(費用)が発生します。
債権の譲渡には、次の2つのパターンがあります。
(1)売却損が出る場合
■売掛金の譲渡(売却損が出る場合)
当座預金 950/売掛金1,000
債権売却損50
同様の取引として、次の2つの取引があります。どちらも〇〇売却損という勘定科目を使います。
■受取手形の割り引き
当座預金 950/受取手形1,000
手形売却損50
■電子記録債権の割り引き
当座預金 950/電子記録債権1,000
電子記録債権売却損50
<例題1>
次の取引の仕訳を答えなさい。
売掛金¥150,000を¥146,000で売却し、代金は普通預金口座へ振り込まれた。
<解答>
普通預金146,000/売掛金150,000
債権売却損4,000
<解説>
①売掛金が減るので、右に「売掛金」と書く。
②普通預金口座へ振り込まれたので、普通預金が増える。左に「普通預金」と書く。
③差額は「債権売却損」を使う。
債権の金額と譲渡額に差額が出るパターン。差額が債権売却損となる。受取手形の割り引き、電子記録債権の割り引きと類似の取引。
(2)売却損が出ない場合
■売掛金の譲渡(売却損が出ない場合)
買掛金1,000/売掛金1,000
同様の取引として、次の2つの取引があります。
■受取手形の裏書き
買掛金1,000/受取手形1,000
■電子記録債権の譲渡
買掛金1,000/電子記録債権1,000
<例題2>
次の取引の仕訳を答えなさい。
当社の得意先A社に対する売掛金のうち、¥100,000を仕入先D社に対する買掛金の支払いのため、同社に譲渡することにつき、A社とD社の同意を得たため、これを譲渡した。
<解答>
買掛金100,000/売掛金100,000
<解説>
①売掛金が減るので、右に「売掛金」と書く。
②買掛金が減るので、左に「買掛金」と書く。
債権の金額と譲渡額に差額が出ないパターン。受取手形の裏書き、電子記録債権の譲渡と類似の取引。
なるほど~。これなら解けそう。
売掛金、受取手形、電子記録債権は、譲渡できる、って覚えておけば大丈夫。
<まとめ>
・売掛金、受取手形、電子記録債権は、譲渡することできる。
→代金の支払いとして使える。
・差額が出る場合は、〇〇売却損を使う。
13 Comments
債権を受け取った側の処理は不要とありますが、例えばA社がB社に対する売掛金5000円をC社に5000円で譲渡した場合、C社の仕訳は
売掛金5000円 現金5000円
とならないのですか?
下記のコメントに書いているとおり、債権を譲渡された側(買掛金を計上した側)の処理は不要ですが、債権を受け取った側(売掛金を譲渡された側)の処理は仕訳を計上します。そして、簿記2級の範囲ではありませんので、C社の仕訳は覚える必要はありません。
債権を譲渡された側はどんな処理になりますか?
何も処理は必要ありません。
例えば1000円の債権を誰かに900円で譲渡したとき、譲渡された側は900円で1000円分の債権を買えたって事になると思うのですが、その100円分の利益は仕訳しないのですか?
利益の仕訳をするのですが、債権の買い取りを行うのは銀行やファクタリングを行っている会社などの特殊な業種でして、簿記2級では出てきません。気にしないで大丈夫です。
なるほど、理解できました!返信して頂きありがとうございました!
ありがとうございます!
152回2級簿記の出題予想が知りたいです。
更新しました!
これって逆に売却益が出るパターンの取引はないのですか?
ありません。貸倒れのリスクがあるので、その分売却額が減らされるためです。
なるほど。リスク相当分の金額を割り引かれるわけですね。ありがとうございます。