お兄さん、使わなくなったパソコンがあるんだけど、仕訳はどうすればいいの?
その場合、除却と廃棄の2つがあるね。
じょきゃく?
じゃ、一つ一つ見ていこう。
固定資産の除却
固定資産の除却とは、固定資産の使用をやめて、倉庫などに置いておくことです。自分で「使うのをやめる宣言」をするのであって、固定資産の売却とは違います。また、倉庫に置いておくだけで、廃棄処分している訳ではないので、廃棄とも違います。
除却した時
次の取引の仕訳を行いなさい。決算にあたって不要となった備品を除却する。
備品(取得価額¥2,000、減価償却累計額¥1,600、処分価値¥100、既に減価償却費の計上は適切に行われている)
<解答>
(借方)減価償却累計額 1,600 (貸方)備品 2,000
貯蔵品 100
固定資産除却損 300
<解き方>
① 除却した備品に関する備品勘定と減価償却累計額勘定を取り消します。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
② 処分価値は貯蔵品とします。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
貯蔵品 100
③ 差額は固定資産除却損。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
貯蔵品 100
固定資産除却損 300
ポイント
除却しても処分価値(売ったらお金になる価値)が残っている場合には「貯蔵品」として記帳しておく。
参考:固定資産除却損
損益計算書で表示される勘定科目名。建物除却損、備品除却損、ソフトウェア除却損など、固定資産に関する除却損をまとめて表す勘定科目。
ふむふむ。
次は廃棄した場合を見ていこう。
固定資産の廃棄
固定資産の廃棄とは、ゴミの焼却場や埋め立て地へ持っていき、完全に処分することです。除却と違い、貯蔵品勘定は出てきません。
廃棄した時
次の取引の仕訳を行いなさい。決算にあたって不要となった備品を廃棄する。廃棄費用は現金で支払った。
備品(取得価額¥2,000、減価償却累計額¥1,600、廃棄費用¥100、既に減価償却費の計上は適切に行われている)
<解答>
(借方)減価償却累計額 1,600 (貸方)備品 2,000
固定資産廃棄損 500 現金 100
<解き方>
① 廃棄した備品に関する備品勘定と減価償却累計額勘定を取り消します。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
② 廃棄費用を現金で支払ったので、右に「現金」と書く。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
現金 100
③ 差額は固定資産廃棄損。
減価償却累計額 1,600/備品 2,000
固定資産廃棄損 500 現金 100
補足:廃棄をした場合、固定資産廃棄損ではなく、固定資産除却損を使っても正しいです。
参考:日商簿記の許容勘定一覧
https://www.kentei.ne.jp/wp/wp-content/uploads/2016/02/h28-30_kamoku.pdf
パソコンは押し入れの中に保管しているから、除却だね。
うん、そうだね。
ふふふ、固定資産は簡単だね。
24 Comments
2/23に154回の試験を受け終えた者です。
復習の為に『パブロフ流でみんな合格日商簿記2級商業簿記総仕上げ問題集』を使用しております。その中で気になった部分がございますので質問させて頂きたいです。
102・103ページ、Chapter3-02固定資産管理台帳を参考に当期の固定資産の元帳と管理台帳、及び当期の固定資産除却損額を答える計3問がございます。
その内、当期の固定資産除却損額を答える問題で、答えが433,400円となっております。この内訳は備品の除却損133,400円とソフトウェアの除却損300,000円なのですが、ソフトウェアの除却損を「固定資産除却損」で答えるような指示が設問中に無かったので、当方は備品の除却損額である133,400円と回答してしまいました。
この場合のソフトウェアの除却損科目名は
「ソフトウェア除却損」にはならないのですか?
総仕上げ問題集をお使いくださり、ありがとうございます。
テキストP.153の豆知識「固定資産の勘定科目」を見てみてください。こちらに書いてあるように、固定資産除却損は、建物除却損や備品除却損やソフトウェア除却損をまとめた勘定科目です。ですので、固定資産除却損を解答する場合、備品除却損とソフトウェア除却損を合計して解答するになります。なお、固定資産は、有形固定資産と無形固定資産の両方を含みますので、備品やソフトウェアがどこの区分に含まれているのかを考えてみると、イメージがつかみやすくなると思います(テキストP.340の貸借対照表を見るとわかりやすいです)。
ありがとうございます。
固定資産除却損=有形固定資産の除却に使う科目と思っておりました…。
ご指摘の通り無形固定資産の除却も包括した科目でしたね。
因みに先日の第154回、第一問・問1でファイナンスリースの除却が出題され、固定資産除却損科目を使用しましたがファイナンスリースも固定資産の括りに入るという事なのですね。
解決したようで良かったです。
ファイナンスリース取引についても、リース資産が固定資産に計上されますので「固定資産除却損」を使用します。
第5版パブロフ流でみんな合格日商簿記2級商業簿記テキスト&問題集の150ページ、固定資産の売却について質問させて下さい。
問題の最後に当期分の減価償却費も計上すること、と書かれていますが、答えを見ますといつものやり方、取得額に0.9かけて9年で割る、で、変わりないと思うのですが、もしこれが、当期分の減価償却費を計上しなかった場合、どんな答えで、どんな解き方になりますか?今まで意識していなかった文言で、とても気になりました。どうか、教えて頂けますと、有難いです。よろしくお願いします!
テキストをお使いくださり、ありがとうございます。
本問は、期末日に備品を売却しているので、12か月分の減価償却を計上します。期中で売却した場合、期首~売却までの月数分だけ減価償却を計上することになります。
こちらの内容(固定資産の期中売却)は簿記3級で学習する内容になりますので、今のうちに簿記3級のテキストP.132を復習しておきましょう。
過去問を解いていると「固定資産除却益」の勘定科目が選択肢として出てきたのですが、除却益が出てくる例題があれば教えてください。除却損はイメージがつきますが、益になると捉えづらいです。
コメントありがとうございます。
通常の状況で固定資産除却益が出てくることはありません。勘定科目の選択肢は使用しないものが含まれていますので、気にしなくて構いません。
上記の方のコメントに加えての質問で申し訳ありません。
期中に除却した場合(例えば、会計期間X1/4/1-X2/3/31でX1/9/30に除却した場合)、除却した月までの減価償却費を計算しますが、その額を減価償却累計額には加えません。
借方に減価償却費が発生して、貸方に減価償却累計額が発生しない場合、貸借が一致しないように感じて気持ち悪いのですが、除却した際に借方:減価償却費の貸方には何があるのでしょうか。
決算整理ではないから減価償却累計額は無いのだと納得しようとしているのですが、なかなか釈然としません。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
例題を使って、見ていきましょう。
例:備品2,000、減価償却累計額1,200、当期の減価償却費(6か月分)200、処分価値100だった場合
<解答の仕訳>
減価償却累計額1,200/備品2,000
減価償却費 200
貯蔵品 100
固定資産除却損 500
上記の仕訳がわかりにくいようでしたら、次のように考えてみてください。
①当期の減価償却の仕訳
減価償却費200/減価償却累計額200
②除却の仕訳
累計額 1,200+200=1,400
減価償却累計額1,400/備品2,000
貯蔵品 100
固定資産除却損 500
上記①と②を合算させると、解答の仕訳と同じになります。
早速ご教示いただきありがとうございます!
> ①当期の減価償却の仕訳
> 減価償却費200/減価償却累計額200
目から鱗でした。。
今後はすっきりとした気持ちで問題に取り組めます。
ありがとうございました。
解決したようで良かったです。合格を応援しています!
教えていただきたいですが、固定資産除却のさい、貯蔵品の勘定科目を立てました。その貯蔵品を売るとき、帳簿価額と違う場合(より高い場合とより少ない場合)、どうの仕分けになりますか。
どうぞ宜しくお願いします。
貯蔵品の売却時の差額は雑収入、雑損を使うことが一般的だと思います。
除却の例について教えてください。
処分価値¥100なので貯蔵品として借方に¥100があるのですが、この¥100ってどうやって見積るのですか?
どれくらいで売却できるか、で見積ります。例えば、中古品の買取りの見積書などです。
色々参考にさせていただいてます。
実際の実務では固定資産廃棄損なんて使わないで、捨てた場合でも除却損で処理すると習いましたし、今までもそうして来ました。企業の有報とか見ても出て来ないですしね。簿記の世界だとこのように仕分けるのですね。そもそもの除却と言う意味合いについて考えたことがなかったです。ありがとうございました。
コメントありがとうございます。
資格試験の簿記では、使用する勘定科目が明記されており、除却損でも廃棄損でも正しい(許容勘定科目)、という扱いをしています。
記事の方にも補足をしておきました。
備品の額を減価償却累計額と同額にし、現金で全て支払ったように仕訳るのでも良いですか?
備品の減価償却の記帳方法によります。
間接法の場合、上記のように減価償却累計額を使います。
直接法の場合、減価償却累計額を使わず、備品を使いますので、ご指摘の通りの仕訳になります。
なぜ減価償却累計額は資産の勘定なのに借方にくるんですか?
コメントありがとうございます。
減価償却累計額は資産のマイナス勘定で、ホームポジションは右側(貸方)です。
テキストを見ていると、減価償却費を計上しておりません。このページの例題のように、既に減価償却費を適切に処理済みのような記載がないです。この場合は期首時点での除却と考えて良いのでしょうか。過去問を見ていても似たようにいつの時点での除却なのか不明確なものが見受けられます。
減価償却費の計上は期中の場合は本来除却も廃棄も計上が必要という認識で間違い無いでしょうか。
はい、期中に売却した指示がない場合、減価償却費を月割計算できませんので、期首の除却と考えて大丈夫です。
テキストP.141の豆知識「固定資産を売却したときの減価償却費」の一番下の行に「なお、固定資産の売却だけでなく、Ch07-09以降で学習する買い換え、除却、廃棄においてもこの考え方で仕訳を書くことになります。」と書いてあるように、期中売却の場合、除却や廃棄の減価償却費を計上することになります。