見て見て、お兄さん、消防車が走ってるよ。
ほんとだね。あれ?パブロフくんのお店、燃えてない?
えっ・・・
火災未決算の一連の流れ
火災が発生して、保険金を受け取るまでの仕訳を見ていきましょう。
1.火災発生
建物(取得原価¥500、減価償却累計額¥300)が火災で焼失した。この建物には火災保険¥500が掛けられていたので、当期の減価償却費¥50を計上するとともに、保険会社に保険金の支払いを直ちに請求した。
<解答>
(借方)減価償却累計額 300 (貸方)建物 500
減価償却費 50
火災未決算 150
<解き方>
火災により建物が焼失しました。本問では、『保険会社』に連絡を取っていますので、火災保険に加入していることがわかります。
①当期の減価償却費を計上する。
減価償却費50/
②焼失した建物、減価償却累計額をゼロまで減額する。
減価償却費50/建物500
減価償却累計額300
③『保険会社に支払いを請求した』と指示があるが、保険金の支給額や支払日が確定していないため、火災未決算を使う。
減価償却費 50/建物500
減価償却累計額300
火災未決算150
2-1.保険がおりることが決定(火災損失が発生する場合)
火災により消失した建物(火災当時の簿価:¥150)に関し請求していた保険金について、本日保険会社から、¥140支払う旨の連絡を受けた。当該建物は、火災発生日に簿価の全額を火災未決算勘定で振替えていた。
<解答>
(借方)未収金 140 (貸方)火災未決算 150
火災損失 10
<解き方>
連絡を待っていた保険金の金額が確定しました。しかし、まだ入金をしていないため、未収金を使って仕訳を行います。火災当時の簿価より保険金が少ない場合には、火災損失が発生します。
①火災未決算を取り崩すので、右に書く。金額は、問題文の『火災当時の簿価』を使う。
/火災未決算150
②保険金を140受け取ることができるが、まだ受け取っていないため、未収金を左に書く。
未収金140/火災未決算150
③差額が左側→火災損失を書く。
未収金140/火災未決算150
火災損失10
2-2.保険がおりることが決定(保険差益が発生する場合)
火災により消失した建物(火災当時の簿価:¥150)に関し請求していた保険金について、本日保険会社から、¥200支払う旨の連絡を受けた。当該建物は、火災発生日に簿価の全額を火災未決算勘定で振替えていた。
<解答>
(借方)未収金 200(貸方)火災未決算 150
保険差益 50
<解き方>
火災当時の簿価より保険金が多い場合です。このような場合には、保険差益が発生します。
①火災未決算を取り崩すので、右に書く。金額は、問題文の『火災当時の簿価』を使う。
/火災未決算150
②保険金を200受け取ることができるが、まだ受け取っていないため、未収金を左に書く。
未収金200/火災未決算150
③差額が右側→保険差益を書く。
未収金200/火災未決算150
保険差益50
3.保険会社から保険金を受け取り
本日保険会社から火災保険の保険金¥140を現金で受け取った。
<解答>
(借方)現金 140 (貸方)未収金 140
ころばぬさきの保険だね。
14 Comments
よかったよ
とある問題集の仕訳を解いていた際、『この建物には火災保険 ¥ 7,000,000 が掛けられていた』とあり、
未決算の額が、建物と減価償却額等の差額ではなく火災保険金の額となっておりました。また、未決算(火災保険金)との額その差額として火災損失として仕訳けられていました。
本問に当てはめて考えると1と2-1の処理を同時に処理したような内容と思うのですが、
保険金額が確定している場合は、未決算の額を火災保険金として書くのが一般的なのでしょうか。
ご見解をお伺いできれば幸いです。
※ご参考までに、以下がその問題集の回答となります。
×2 年1 月31 日、建物(取得原価:¥ 9,000,000、前期末の減価償却累計額:¥ 1,650,000)が火災で焼
失した。この建物には火災保険 ¥ 7,000,000 が掛けられていたので、当期の減価償却費を月割りで計上する
とともに、ただちに保険会社に保険金の支払いを請求した。
なお、建物の減価償却は定額法(耐用年数:30 年、残存価額:ゼロ、記帳方法:間接法)により行ってお
り、決算日は3 月31 日(会計期間は1 年)である。
ア.未収入金 イ.建物 ウ.建物減価償却累計額 エ.保険差益 オ.減価償却費
【以下が回答】
オ減価償却費 250,000 イ 建物 9,000,000
ウ建物減価償却累計額 1,650,000
ク未決算 7,000,000
キ火災損失 100,000
【ご参考までに】
本稿の1に『保険会社に保険料の支払いを直ちに請求した。』と記載がありましたが、『保険料』ではなく『保険金』が正しいかと存じます。
保険金は、かけていた保険に対する保障額のことを指すのに対し、保険料とは毎月の保障に対する掛け金のことを指してます。
保険会社に働いていた人間からすると混乱してしまう内容でしたので、ご参考までご指摘させていただきました。
ブログに誤植がございまして、大変申し訳ございませんでした。
ご指摘くださり、ありがとうございます。該当部分、修正いたしました。
火災保険の上限が¥7,000,000ですので、未決算の上限も7,000,000となります。建物の帳簿価額は9,000,000-1,650,000=7,350,000ですが、火災保険の上限は7,000,000ですので、差額350,000は損失が確定しています。このため、保険会社に保険金の支払いを請求したタイミングで、火災損失350,000を計上することになります。
以上となります。よろしくお願いいたします。
保険をかけている場合は、「減価償却累計額(資産マイナス)」を取り消す処理をするにも関わらず、保険をかけていない場合は「減価償却累計額(資産マイナス)」を取り消さないのは、なぜでしょうか??
コメントありがとうございます。
火災保険をかけている場合、かけていない場合ともに、火災が発生したときに「減価償却累計額(資産マイナス)」を取り消す処理を行います。
3級からパブロフ流で勉強させてもらっています。
こちらで質問して良いのか分かりませんが
2021年度版工業簿記テキストの付属問題について質問があります。
大問1の4番目にある固定資産の火災における仕訳についてです。
解説で未決算は「(借方と貸方の)差額と火災保険の上限のどちらか低い金額を書く」とあったことから浮かんだ疑問です。
今回の問題では当てはまりませんでしたが、もし、保険金の上限が借方と貸方の差額より小さい場合、借方の金額が余ると思うのですが、余った分の勘定科目はどちらを用いるのでしょうか?
保険金からの収入は見込めないため、そのまま「火災損失」として余った分を処理して良いのでしょうか?
細かい話で申し訳ないですし、お忙しいところ恐縮ですが、教えて頂けると幸いです。よろしくお願い致します。
テキストをお使いくださり、ありがとうございます。
保険金の上限が差額より小さい場合は、火災損失を使って仕訳を行います。
答えて頂き、ありがとうございます!
火災発生時の解答と解き方で答えが違っているように思うのですが解答のほうがあっているのでしょうか?
コメントありがとうございます。
修正致しました!
いつもわからなくなったところを勉強しにきてます!
2-2の解き方の未収金が140になっています。
たぶん200?
これからもよろしくおねがいします。
ご指摘くださり、ありがとうございます。修正致しました!
3 の未収金も140になっていますが、200の間違い?それともやっぱり保険会社からもらえたのは140だったのでしょうか。
取引全体では、1→2-1→3という流れです。