2015年6月14日の日商簿記検定が近くなってきました。
簿記2級に関して、今年の試験は範囲が変更する境目の試験のため、注意が必要です。
4月に公表された商工会議所ホームページの情報により、出題可能性が低くなる分野が判明しています。また、最近の出題傾向を見てみると、経理実務で使用頻度の高い分野が出題されています。
範囲改訂についてはこちら
このような状況を踏まえて、今回の試験ではどのような問題が出題されるのか、予想しました。
ただし、予想した分野だけしか勉強しないのではなく、苦手な分野があれば解けるようになっておくのが正しい学習法です。苦手な分野はテキストや総仕上げ問題集を使って復習しておきましょう。試験直前に実力が伸びますので最後まで諦めずに頑張ってください!
※簿記2級について、アプリと実践問題を新傾向に合わせて更新しましたので、最新版をお使いください(iPhoneのアプリは現在審査中で、5月中旬にアップデート版が公開される予定です)。
■日商簿記3級
第1問 仕訳(20点)
1当座借越
2給与の支払い(社会保険料と所得税の源泉徴収)
3割引手形
4仮払金の発生(旅費の概算払い)
5固定資産の売却
第2問 補助簿(10点)
・補助簿の選択問題
第3問 残高試算表(30点)
・二重仕訳が発生しない問題
・仕入諸掛、売上諸掛に注意
第4問 勘定の記入(10点)
・経過勘定(前払、未払、前受、未収)の勘定記入
第5問 損益計算書と貸借対照表(30点)
【補足】
その他、出題可能性が高いのは次のとおり。勘定の記入は解けるようにしておきましょう。
・第2問 小口現金出納帳、商品有高帳の記入
・第4問 伝票会計の問題
■日商簿記2級
<商業簿記>
第1問 仕訳(20点)
1合併(株式を渡す場合)
2仕入割引
3社会保険料の納付
4賞与引当金
5有価証券の端数利息
第2問 銀行勘定調整表(20点)
第3問 貸借対照表と損益計算書(20点)
・満期保有目的債券の償却原価法
・期中取得の建物の減価償却費を分けて計算する
・200%定率法で減価償却を行う。
<工業簿記>
第4問 個別原価計算(20点)
・材料費、労務費、経費などの資料から、製造原価報告書と損益計算書を作成する問題
第5問 標準原価計算(20点)
・仕掛品勘定の記入
・原価差異分析(材料費、労務費、製造間接費)
【補足】
簿記2級の試験は、第1問が仕訳問題という伝統がありますが、今後は第1問が勘定記入や銀行勘定調整表などの今まで第2問で出題されていた問題に変わることも予想されます。
6月の試験問題を開いてみて、第1問の仕訳問題がなかったとしても、落ち着いて問題を解くようにしましょう。
第1問は、特殊商品売買、社債、繰延資産の可能性は極めて低いです(実務での使われることも少なく、将来簿記2級の試験範囲から除外される内容のため)。一方、固定資産や有価証券、引当金からの出題可能性が高いと考えられます。
第139回(前回)のような過去に出題されていない内容や別解が考えられるような問題が出た場合、その場で考えて仕訳を書くことになりますが、そのようなトレーニングをする意味はありません。基本的な問題を確実に正解して、初めて見るような問題はわかる範囲で埋めれば、合格の70点に届きますので、変な問題に時間を使わないように注意しましょう。
第2問は、伝票会計と特殊仕訳帳の出題可能性は極めて低いです(将来簿記2級の試験範囲から除外される内容のため)。このため、銀行勘定調整表、勘定記入、株主資本等変動計算書の問題が予想されます。それぞれについて、仕訳との対応関係を理解しておきましょう。
第3問は、貸借対照表と損益計算書の問題の小問として株主資本等変動計算書の穴埋めも考えられます。問題集や第138回の過去問で解けるようになっておきましょう。
第4問、第5問について、工業簿記は範囲が広く、すべての分野の出題可能性は同じ状況です。苦手分野を作らないことが重要ですから、出題予想の内容ではなく、苦手な分野を克服する学習を進めていきましょう。
その他、出題可能性が高いのは次のとおり。下記の論点も解けるようになっておきましょう。
<商業簿記>
・第1問 商品保証引当金、償却債権取立益、剰余金の配当と処分
・第2問 勘定記入の問題(有価証券や給与)、株主資本変動計算書の問題
・第3問 精算表、本支店会計の問題(合併損益計算書と合併貸借対照表)
<工業簿記>
・第4問 本社工場会計の仕訳の問題
・第5問 工程別総合原価計算(仕損あり)、等級別総合原価計算