2022年6月12日(第161回)の日商簿記検定が近くなってきました。
<2021年度からの変更点・注意点>
2021年度の試験から新しい試験問題になり、試験時間や出題形式が変わります。変更点については、下記の記事を参照ください。
また、2021年度の試験から、問題と答案用紙と下書き用紙が1冊の冊子に変更され、すべて回収されるようになります。また、試験問題に関する内容をネットやSNS上に開示することは禁止されていますので、模範解答は公表されず、自己採点は不可能となりました。
日本商工会議所 第158回簿記検定試験からの変更点について
下書き用紙・計算用紙について 試験前日の過ごし方、当日の注意点
<出題予想の使い方>
苦手な分野を試験までに解けるようになっておくことが出題予想の正しい使い方です。苦手な分野はテキストや総仕上げ問題集、模擬問題やネット試験の模擬試験を使って復習しておきましょう。試験直前に実力が伸びますので最後まで諦めずに頑張ってください!
試験に合格する人は、試験前にケアレスミス対策が終わっています。70点以上で合格の試験ですので、基本的な問題を正確に解ければ合格できます。今のうちにケアレスミス対策をしておき、悔しい思いをしないようにしましょう。
日商簿記3級の予想
2022年度の統一試験(紙の試験)では、簿記3級の試験が1日2回実施されます。このため、同じ試験日でも問題が異なることがあります。このため、ネット試験と同様に、出題予想のどこが出ても解けるように練習しておきましょう。
<2022年6月試験の出題傾向>
簿記3級は2021年度から大問が5問から3問に変更され、出題内容が変わっています(詳しくは後で説明します)。合格するためには第1問45点、第3問35点の配点が大きい問題で高得点を目指すことが重要です。そして、次の3つを身につけることが合格への近道です。
①幅広い仕訳の練習する
②問題文から仕訳を書くスピードを付ける
③精算表・財務諸表の解き方をマスターする
<過去問集について>
試験時間や出題傾向、配点が変わっていますので、過去問集は解かない方がよいです。昔に簿記3級に合格した方は「過去問集を解けば大丈夫」と言っていますが、それは昔の話ですので、2022年度に受験されるかたは過去問集を解かない方がよいです。
◆2022年度の統一試験のポイント
・第1問と第3問の配点が大きいため、第1問と第3問対策が重要になります。
・第2問は勘定記入の問題がよく出題されますので、練習しておきましょう。総勘定元帳やT字勘定の書き方を復習しておくことをオススメします。
・大問の数が減ったため、過去に出題されていた試算表は出題される可能性は非常に低くなります。
◆2022年6月試験の出題予想
出題予想 | 総仕上げ問題集との対応 |
第1問 仕訳15問(45点) | Ch1 仕訳 |
第2問 (20点) (1)と(2)で合計2問が出題 ・補助簿の選択問題、記入問題 ・勘定記入の問題 ・理論問題の選択問題 ・伝票会計の穴埋め問題 |
Ch2 現金実査と貯蔵品の棚卸し Ch3 補助簿(選択問題、記入問題) Ch4 勘定の記入(経過勘定、未収収益、損益、売上原価、3分法、備品) Ch5伝票会計(伝票の穴埋め等) Ch6理論問題 |
第3問(35点) ・精算表 ・財務諸表 |
Ch8 精算表 Ch9 財務諸表 |
◆試験時間内に問題を解くコツ
試験時間は60分ですので、問題を解くスピードが必要になります。まずは、総仕上げ問題集に書いてある目標時間内に解けるように、何度も問題を解きましょう。
どれくらいのスピードで解けばよいのか、目安としては「第1問の仕訳問題を1問1分以内に解答できるかどうか」です。問題文を読んで仕訳を書く、という作業を素早くすることで、試験時間内に問題を解けるようになります。
仕訳のスピードアップには、スマートフォンのパブロフ簿記3級アプリがオススメです。
日商簿記2級の予想
2022年度の統一試験(紙の試験)では、簿記2級の試験が1日2回実施されます。このため、同じ試験日でも問題が異なることがあります。このため、ネット試験と同様に、出題予想のどこが出ても解けるように練習しておきましょう。
<2022年6月試験の出題傾向>
第1問、第2問、第3問が商業簿記、第4問、第5問が工業簿記であることに変更はありません。ただし、試験時間が短くなった分、じっくり考える問題は出題されにくくなり、標準的な難易度の問題が出題されるようになりました。このため、2020年度までに出題されていた難問は出題されませんので、過去問集は解かないようにしましょう。過去問集を解いても、難問の理解や解き方に時間がとられるだけで、統一試験には出題されませんので、時間がもったいないです。昔に簿記2級に合格した方は「過去問集を解けば大丈夫」と言っていますが、それは昔の話ですので、2022年度に受験されるかたは過去問集を解かない方がよいです。
◆2022年度の統一試験のポイント
・基本的な問題が素早く解けるかどうかが重要。
・第1問の仕訳問題は横断的に出題されるため、テキストレベルの仕訳を漏れなくカバーしておくことが大切です。問題集が終わって時間がある場合は、テキストの練習問題を復習したり、豆知識の仕訳を確認することも有効です。
・第2問で連結会計がよく出題されます。出題される可能性は50%以上と考えて、連結会計対策が必須となります。
・工業簿記の大問が3つに分かれます。今後の試験では、費目別原価計算の仕訳と標準原価計算の原価差異分析、CVP分析の対策が非常に重要になります。
◆2022年6月試験の出題予想
出題予想 | 総仕上げ問題集との対応 |
第1問 仕訳5問(20点) | Ch1 仕訳 |
第2問 (20点) ・連結精算表 ・連結財務諸表 ・株主資本等変動計算書 ・固定資産や有価証券の総合問題 ・銀行勘定調整表 |
Ch2 現金預金・商品売買 Ch3 固定資産・有価証券 Ch4 理論 Ch6 株主資本等変動計算書 Ch8 連結会計 |
第3問(20点) ・精算表 △ ・財務諸表 ◎ ・本支店会計 △ |
Ch5 精算表 Ch6 財務諸表 Ch7 本支店会計 |
第4問(1)(12点) 仕訳3問 ・費目別計算 ・本社工場会計 |
Ch1 仕訳 |
第4問(2)(16点) ・個別原価計算 ・部門別原価計算 ・製造原価報告書と損益計算書 ・総合原価計算 ・標準原価計算 |
Ch2 費目別計算 Ch3 部門別計算 Ch4 個別原価計算 Ch5 製造原価報告書・損益計算書 Ch6 総合原価計算 Ch7 工程別総合原価計算 Ch8 組別総合原価計算 Ch9 等級別総合原価計算 Ch10 標準原価計算 |
第5問(12点) ・標準原価計算の原価差異分析 ・直接原価計算のCVP分析 ・直接原価計算の損益計算書 |
Ch10 標準原価計算 Ch11 直接原価計算 |
◆試験時間内に問題を解くコツ
試験時間は90分ですので、問題を解くスピードが必要になります。まずは、総仕上げ問題集に書いてある目標時間内に解けるように、何度も問題を解きましょう。
<商業簿記>
どれくらいのスピードで解けばよいのか、目安としては「第1問の仕訳問題を1問2分程度で解答できるかどうか」です。問題文を読んで仕訳を書く、という作業を素早くすることで、試験時間内に問題を解けるようになります。
仕訳のスピードアップには、スマートフォンのパブロフ簿記2級アプリがオススメです。
<工業簿記>
工業簿記の出題内容によって時間に差が出ますが、25分~35分程度で工業簿記を解くようにしましょう。
最後に
2022年度の簿記検定に合格するために大切なことは、基本的な問題を確実に正解することです。大切なのは、苦手な分野を作らないこと、簡単な問題から順番に解くこと、難しい問題に時間をかけすぎないこと、簡単な問題でミスしないこと、勘違いによるミスしないこと、を試験前に練習しておくことです。
まだ試験まで時間がありますので、合格を目指して頑張りましょう!
3 Comments
ブログいつも拝読させていただきます。
役に立つ情報ありがとうございます。
先生の本のおかげで苦手な連結会計の問題を解けるようになりました!本当に嬉しいです。
明日いよいよ試験です。頑張ります!
先生は簿記1級の本出版する予定ありますでしょうか。これほど解き方がわかりやすい本はないので1級も出版されたら必ず買います!
コメントありがとうございます。
苦手な連結会計が解けるようになったのは素晴らしいです。
大変申し訳ございませんが簿記1級の書籍の発売は未定となっております。
貴重なご意見をくださり、ありがとうございます。
コメントありがとうございます。
1.下書きの数字
日商の方から採点箇所以外の数字や文字を消さなくても採点に影響はない、と説明を受けておりますが、念のため消した方が安心です。
2.下書き用紙
下書き用紙を冊子から切り離すことは禁止されておりまして、当日の受験時の注意事項で説明がされます。
3.試験の難易度
ネット試験と比べて統一試験の方が難易度は多少難しいですが、総仕上げ問題集に掲載されている内容がすべて正答できれば70点以上は得点できると思います。
合格のためには、簡単な問題を正確に回答することが重要です。また、総仕上げ問題集の模擬試験で9割~満点を取れるように練習するのがおすすめです。