Q 仕訳を書く場合、問題文によって勘定科目を相殺する場合と相殺しない場合が出てきます。問題を解く際にどのように判断すればいいでしょうか?

A 簿記3級では、相殺する場合と相殺しない場合の問題はほとんど出題されませんので、気になくて大丈夫です。簿記2級では、勘定科目を相殺して仕訳を書く場合、取引ごとに仕訳を分けて書くことが基本となります。取引が同じ日に同時に行われている場合、一つの取引と考えられますので、勘定科目を相殺してまとめて書くことが無難です。ただし、問題文に「●●と●●を分けて記帳している」「●●の記帳を行い、別途●●の記帳を行った」など、具体的に指示がある場合は、別々に仕訳を書く必要があります。例題を使ってみていきましょう。

例題:153回日商簿記第1問3(改題)
備品¥3,000,000の導入に当たり、前月に¥1,000,000の補助金を得て、補助金の受領については適切に会計処理済みである。本日、上記の備品を予定どおり購入し、小切手を振り出して支払った。そのうえで、補助金に関する圧縮記帳を直接控除方式にて行った。なお、備品勘定は圧縮記帳した事実を示すように記帳すること。

解説
「備品を~小切手を振り出して支払った」「そのうえで、~行った」と書いてあり、「備品勘定は圧縮記帳した事実を示すように記帳すること」と問題文に書いてあります。

●勘定科目を相殺して仕訳を書く場合
備品の取得と圧縮記帳の仕訳をまとめて書く場合、次のようになります。
備品2,000,000/当座預金3,000,000
固定資産圧縮損1,000,000

この仕訳を書いた場合、「備品勘定は圧縮記帳した事実を示すように記帳すること」という指示を無視しています。下記のように備品の総勘定元帳を書いてみると、通常の備品の取得と同じ記帳となっており、圧縮記帳を行ったかどうか判断できません。このため、不正解となります。
        備品
――――――――――――――――
当座預金2,000,000|

●勘定科目を相殺せずに仕訳を書く場合
備品の取得と圧縮記帳の仕訳を別々に書く場合、次のようになります。
備品3,000,000/当座預金3,000,000
固定資産圧縮損1,000,000/備品1,000,000

下記のように備品の総勘定元帳を書いてみると、通常の備品の取得と圧縮記帳の仕訳が別々に記帳されており、圧縮記帳した事実を示すように記帳しています。本問では、こちらの仕訳が正解となります。
        備品
―――――――――――――――――――――
当座預金3,000,000|固定資産圧縮損1,000,000

●試験ではどのように判断するのか
実際の試験では、第1問の仕訳問題の問題文をすべて読むことが大切です。見慣れない指示がある場合、「仕訳の書き方が複数考えられるため、正解を一つにすることを目的で、問題文の指示がある」と考えましょう。
ただし、1問に限られた時間を多く使うのはよくありません。別解があるかもしれないけど、とりあえず、仕訳を書いて答案用紙を埋めること。最後の見直しの時にじっくり時間を使って考えてみることが重要です。