2019年6月9日(第152回)の日商簿記検定が近くなってきました。今回の試験ではどのような問題が出題されるのか、予想しました。
今回は簿記3級の範囲改定がありますので、要注意です!
苦手な分野を試験までに解けるようになっておくことが出題予想の正しい使い方です。苦手な分野はテキストや総仕上げ問題集、実践問題を使って復習しておきましょう。試験直前に実力が伸びますので最後まで諦めずに頑張ってください!
試験に合格する人は、試験前にケアレスミス対策が終わっています。70点以上で合格の試験ですので、基本的な問題を正確に解ければ合格できます。今のうちにミスノートを利用して、ケアレスミス対策をしておき、悔しい思いをしないようにしましょう。
日商簿記3級の予想
第1問 仕訳(20点)
1売上と消費税
2会社設立
3給料の源泉徴収
4貸倒れ
5証ひょう(納品書、請求書)の問題
第2問 総勘定元帳の記入(10点)
・備品と備品減価償却累計額
第3問 試算表(30点)
・合計残高試算表(日付別)
第4問 理論の穴埋め問題(10点)
・理論の穴埋め問題
第5問 精算表(30点)
【補足】その他、出題可能性が高いのは次のとおりです。
・第1問 備品の期中売却、剰余金の配当
・第2問 補助簿の選択問題
・第3問 残高試算表
・第4問 伝票会計の仕訳日計表、証ひょうの問題
・第5問 決算整理後残高試算表、財務諸表(貸借対照表と損益計算書)の問題
<簿記3級の全体としての傾向>
2019年6月から簿記3級の試験範囲が大幅に変わりました。過去問では新しい範囲の対策ができませんので、注意が必要です。
特に証ひょうの問題、決算整理後残高試算表は、事前練習が必要ですので、今のうちに慣れておきましょう。
範囲が変わったとはいえ、簿記3級の難易度が高くなるとは思えませんので、テキストや総仕上げ問題集の内容をしっかり身につければ必ず合格できます。2時間問題に慣れるため、総仕上げ問題集の模擬問題を解くことも重要です。
第3問の試算表ですが、合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3つが出題されます。毎回試験終了後に「合計と残高を勘違いして間違えた」とコメントを頂きます。今の時期から注意しておきましょう。
日商簿記2級の予想
<商業簿記>
第1問 仕訳(20点)
1外貨建取引か為替予約
2合併
3商品保証引当金
4研究開発費
5賞与の支払い(賞与引当金あり、源泉徴収あり)
第2問 有価証券の総合問題(20点)
・有価証券台帳が与えられる
→有価証券利息や貸借対照表の金額を求める問題
→仕訳や勘定を記入する問題
第3問 財務諸表(貸借対照表と損益計算書)(20点)
・税効果会計あり
<工業簿記>
第4問 単純総合原価計算(20点)
・材料の追加投入
第5問 標準原価計算(20点)
・仕掛品勘定の記入
・原価差異分析
<簿記2級の全体としての傾向>
簿記2級は範囲が広く、出題のパターンが決まっていないため、出題傾向が読みにくいです。第2問で初めて見る問題も出題されることも多いのですが、試験問題を全体としてみてみると、70~80%は事前対策できる問題ですので、解ける問題を確実に解くことを意識して勉強しましょう。
<対策>
最近の試験は、商業簿記は難しいので7~8割程度、工業簿記で9割~満点を目標にしましょう。工業簿記はパターンが決まっており、総仕上げ問題集の中からどれか2問が出題されます。今のうちに反復練習しておきましょう。
<簿記2級の各小問>
第1問
簿記2級の範囲が広くなったため、仕訳問題は過去問だけで対策すると漏れが出てきてしまいます。パブロフ簿記のアプリ、テキストや総仕上げ問題集で幅広く対策することが必要です。なお、仕訳問題は上記5つと下記は出題可能性が高いので、しっかり覚えておきましょう。
[その他、出題可能性が高い内容]
・減価償却 生産高比例法
・固定資産の火災
・建設仮勘定
・返品調整引当金
・受取配当金、預金利息の源泉徴収
・債権の譲渡
第2問
過去に出題回数の少ない有価証券の総合問題が出題される可能性が高いです。また、しばらく出題されていない銀行勘定調整表の出題可能性も高いです。簡単な内容ですので、しっかり対策しておきましょう。念のため、理論の穴埋め問題も解いておきましょう。
[その他、出題可能性が高い内容]
・銀行勘定調整表
・理論の穴埋め問題
第3問
個別財務諸表で税効果会計を絡めた問題が出るのではないか、と予想します。まずは税効果会計のない場合の精算表や財務諸表の問題を解けるように練習し、得点を稼げるようにしておきましょう。
次のような内容も出てくるかもしれません。
・3分法ではなく、販売のつど売上原価に振り替える方法の決算整理(棚卸減耗損、商品評価損)
・外貨建金銭債権債務の換算
・月次計上していた減価償却の決算整理
前回、連結精算表だったため、連結会計の出題可能性は低いです。しかし、まだ出題されていない連結財務諸表がありますので、念のため、解けるように準備しておきましょう。
[その他、出題可能性が高い内容]
・精算表
第4問、第5問
ここ30回以上、似たような問題しか出ていません。工業簿記は範囲が広く、すべての分野の出題可能性は同じ状況です。苦手分野を作らないことが重要ですから、出題予想の内容ではなく、苦手な分野を克服する学習を進めていきましょう。
[その他、出題可能性が高い内容]
・製造原価報告書・損益計算書
・工程別総合原価計算(材料の追加投入、仕損)
・直接原価計算の損益計算書(固定費調整)
最後に
合格するために大切なことは、基本的な問題を確実に正解することです。難しい問題に注目してしまいますが、合格した人も難しい問題は正解していません。大切なのは、簡単な問題から順番に解くこと、苦手な分野を作らないこと、難しい問題に時間をかけすぎないこと、簡単な問題でミスしないこと、勘違いによるミスしないこと、を試験前に練習しておくことです。
まだ試験まで時間がありますので、6月の合格を目指して頑張りましょう!
23 Comments
お世話になっております。
パブロフシリーズで3級に合格し、現在2級合格に向けて勉強中です。
日商簿記2級商業簿記総仕上げ問題集第4版
Chapter 5 問題01 [精算表]の問題について質問させてください。
決算整理事項の[8.有価証券の決算整理]のB社社債について、
解答では4年間で償却を行っていますが、この4年間はどのように算出するのでしょうか。
満期日はX6年3月末と記載があるため分かるのですが、取得日をどのように計算すればよいかわからず。
お手数お掛けしますが、教えて頂けますでしょうか。
総仕上げ問題集をお使いくださり、ありがとうございます。
B社社債(満期保有目的)の購入日は不明ですが、当期X2年4月1日の帳簿残高は57,000(資料8.の表の帳簿価額)ですので、当期首X2年4月1日から満期日X6年3月末まで償却原価法を適用すればよいことがわかります。満期日X6年3月末に満期保有目的債券の帳簿価額が60,000となるように調整しますので、差額3,000をX2年4月~X6年3月までの4年間で均等に償却すればよいこととなり、P.151の解答の仕訳となります。
丁寧に回答頂きありがとうございました!帳簿残高から導き出すのですね。
内容確認してもう一度解き直そうと思います。
先生追記させて頂きます!第5問の標準原価計算はBOX図を2つ書いたにも関わらず標準単価と標準数量を探せず、テキストレベルではないと感じ空欄になってしまいました!本当にすいませんm(_ _)m
下記の記事に解き方を追加しましたので、見てみてください。
https://pboki.com/pass/152boki2.html
よせだ先生こんばんは。
大問題3どこも製造業会計の予想がないんですが、出てこないと思いますか?日商サンプル問題も含めてあれ言葉の言い回しが雑な問題が多くて、指示が曖昧なたまに仕分け処理に悩みます。対策の仕様がありません
製造業会計が出るかもしれませんが、通常の財務諸表と比べて重要度があまり高くないため、出題予想がする方が少ないのだと思います。もちろん、試験で出ないわけではないので、苦手でしたら試験までに練習しておきましょう。
もし、製造業会計が出たとしても、通常の財務諸表と同じような問題(貸倒引当金や退職給付引当金、減価償却など)は出ますので、そこで部分点を確保すれば大丈夫です。
分かりやすいテキスト&問題集で本当に助かっています。
工業簿記テキストがひとつ前のバージョンで有難く6つの問題集を解いていますが不明な点をコメントいたします。
実践問題2017③の第1問(1)の3 売買目的有価証券の売却
売却価格は取得原価の半額の3,010,000とならないのはなぜなのでしょうか?
額面6,000,000で取得原価6,020,000なのでその差の20,000はどこで処理をしているのでしょうか?
固定資産で取得原価を貸方にもってくるのと同じようにしてしまったのですが違うみたいなのです。
実践問題を解くとテキストの練習問題より解けなくて衝撃的です。
本番では難問が出てくるかもしれませんし文章力のない私にはキツイ試験になりそうです。
テキストをお使いくださり、ありがとうございます。
実践問題2017③について
まずは取引の流れと仕訳を確認しましょう。本問では次のように仕訳が行われます。
■取得時 平成27年4月1日
売買目的有価証券6,020,000/現金6,020,000
仕訳後の帳簿価額 6,020,000円
■前期の決算整理 平成28年3月31日
時価 6,000,000÷100×100.5=6,030,000
売買目的有価証券が6,020,000→6,030,000になるので、売買目的有価証券が10,000増える。
売買目的有価証券10,000/有価証券評価益10,000
仕訳後の帳簿価額 6,030,000円
■売却時 平成29年10月20日
売却前の帳簿価額 6,030,000円
この半分を売ったので、6,030,000÷2=3,015,000円の売買目的有価証券が減ります。
当座預金3,066,000/売買目的有価証券3,015,000
有価証券売却益45,000
有価証券利息6,000
以上のようになります。ポイントは、帳簿価額がいくらなのか、を計算して書いておくことです。
実践問題、最初は間違えるかもしれませんが、何度か解き直して、解けるようになれば大丈夫です。問題の解き方の動画もブログに公開していますので、活用してみてください。合格を応援しています!
お忙しい中コメントありがとうございました。お陰様で良く理解できました。
有価証券利息のタイミングも
・当問題では最後に6,000を計算
・商業テキストP216では先に有価証券利息を計算してから投資有価証券売却益
となっていて、色々なパターンがあるようで難しいものです。
まとめてコメントすればよかったのに何度も申し訳ございません。
有価証券利息については、テキストと同じように「有価証券利息を先に計算する」ことで解いても同じ結果になりますので、テキストの順番で覚えてくださって問題ございません。
端数利息は仕訳を書くのが難しいですが、少しずつ慣れてきますので、大丈夫ですよ。
簿記三級の(有料)実践問題2019⑤をダウンロードして解いてみたのですが、第5問の解説の5.貸倒引当金の解答が間違っていると思います…。売掛金544000×2%=10800となっていますが、10880ですよね?そうなると、貸倒引当金繰入は5520になると思いました。だから貸倒引当金は26520で、試算表の合計は24979520ではないでしょうか?
アプリをお使いくださり、ありがとうございます。
誤植がございまして、大変申し訳ございませんでした。該当部分につきましては、すでに修正しておりましてで「boki3_2019_v1.2.zip」のPDFファイルをお使い頂けますと幸いです。よろしくお願いいたします。
先生いつも簿記アプリとテキストで勉強してまして、一通り各論点の知識は頭に入りパブロフ君のそう仕上げ問題集を解いてます!先生に質問があり書き込みします!過去問の問題集を少し始めるにあたり問題文の主旨が良く読み取れない事があるので、どうやれば上手く読み取れる様になりますか?
Twitter等で簿記2級を受験する人が過去問やっていて、皆さん90点代連発で私はびびりまくっております!宜しくお願い致しますm(_ _)m
コメントありがとうございます。
まず、Twitterは気にしないことが大切です。Twitterをしても簿記の勉強にはなりませんので、時間がもったいないです。勉強が進んでいる人もいますが、直前に伸びて合格している方も多いので、自分のペースで勉強することが合格への近道です。Twitterにみんなが時間を使っている間に、簿記の問題を解いて、実力を伸ばしましょう!
■過去問の問題集について
過去問を解くときは、簡単な問題を正確に得点することが重要です。最近の試験は、合格率15~20%で、初めて出題される難しい問題が含まれています。合格者も難しい問題は得点できていませんが、合否を分けたのは、簡単な問題でミスにより失点したかどうかです。
過去問集は、ある程度の仕上がった状態の人が、2時間以内に問題を解く順番、捨て問、得点するべき問題を判断することを練習するために使うものです。というのも、難易度は範囲がバラバラですので、何が基本的な問題か、難しい問題かを判断できなくなるからです。テキストと総仕上げ問題集を中心に学習するのをオススメしているのは、見たことがある問題=解ける問題、見たことがない問題=難問、ということが判断できるようになるよう実力をつけるためです。
テキスト、総仕上げ問題集、過去問集などの目的と使い方については、こちらの記事にまとめていますので、一度ご覧ください。
https://pboki.com/howtostudy/passexam.html
先生返信遅くなりましてすみません!
先生の張り付けて頂きました!サイト読みました!先生の仰られる通りTwitterで過去問90点以上出していた方、点数が振るわず合格点に達しなかった見たいです!昨日、簿記2級を受けて来たのですが、私!仕事が忙しくて問題集余り出来なくて、テキスト、やアプリやってました。本試験の直前まで銀行勘定調整表と標準原価計算の所を偶然にも見て勉強していたのにも関わらず本試験の問題見たら、手も足も出ませんでした(泣)第2問(当座預金出納帳から数字を拾って表の中に入れ、解答速報見たら下のところだった!)、第4問は空欄になって、第3問も仕訳間違えて貸借合ってなくて、自己採点だと30点行けばよいかなといった感じになってしまいました!
そして、Twitterの仲良しさんがいるのですが、2月に100点で3級に合格し今回2級に初挑戦して自己採点80点で合格みたいと言ってました!私、2級前回1回落ちて今回も落ちて、自信喪失になってます!短期間で合格できる人の差って勉強方法でしょうか?頭悪くて申し訳ありませんm(_ _)m
全部すいません追記させて頂きます、第5問、標準原価計算、標準単価、標準数量BOX図2つ書いたにも関わらず探せず空欄になりました!
本当にありがとうm(_ _)m
先生追記させて頂きます!第5問の標準原価計算はBOX図を2つ書いたにも関わらず標準単価と標準数量を探せず、テキストレベルではないと感じ空欄になってしまいました!本当にすいませんm(_ _)m
まずは総仕上げ問題集を解くことが必要ですので、総仕上げ問題集を解く時間を確保しましょう。
短期間で合格できる人は、問題を解く量が多い方です。記述試験ですので、問題演習が合否をわけます。
コメント失礼します。
工程別総合原価計算で、累加法の場合平均的に投入とあった時、前工程費は加工進捗度ではない数字で計算してよいのでしょうか?
質問は、第2工程で材料の追加投入が工程を通じて平均的に投入される場合の話でしょうか?
もしそうでしたら、第2工程で前工程費は最初にすべて投入されますので、通常の材料費を同じように解きます。そして、追加投入した材料は加工進捗度を使った完成品換算量を使って計算します。
建設業経理士2級をとるように言われています。簿記の基礎がないので
日商簿記3級の学習をしてからと思ったのですがそもそも簿記の学習が
不得手で学習の突破口がみつかりません。
先生のテキストが一番手に取りやすくなんとか頑張りたいと思うものの先に進まず
悩んでいます。
建設業経理士2級の学習ってどうしたらよいのでしょうか?途方にくれています。
コメントありがとうございます。
簿記は、初めて勉強する内容ですので、最初は慣れないので、大変ですよね。皆さん、最初は苦労しています。
問題を解きながら慣れていくものですので、練習問題の仕訳を書く練習をしてみてください。
急がば回れ、コツコツできることを一つ一つ進めましょう!