有価証券の取得と売却の仕訳

2019年度の範囲改定により、簿記2級の範囲へ移動しました。

お兄さん簿記3級の有価証券の範囲が変わったんだよ。

パブロフくん売買目的だっけ?出なくなったんだよね。

お兄さんうん、そうだよ。今日は有価証券について勉強しよう。

パブロフくんよろしくお願いします!

お兄さん有価証券は簿記では得点源だから、簡単だけどちゃんと練習するんだよ。

有価証券の種類と処理方法

有価証券とは、債券(国債や社債)と株式など、権利を表す証券のことをいいます。簿記3級では、保有目的に分けずに、有価証券という勘定科目を使います。

簿記3級の範囲 簿記2級の範囲
有価証券

売買目的有価証券
満期保有目的債券
子会社株式
関連会社株式
その他有価証券

 

パブロフくん簿記3級の有価証券って、どんな内容を勉強するの?

お兄さん有価証券を買うとき、売るときの仕訳を勉強するんだよ。

パブロフくんそうなんだ。簡単そうだね♪

お兄さんおっ、やる気だね。一つずつ説明していくよ。

有価証券を取得したとき

次の取引について仕訳を行いなさい。額面¥200のA社社債を額面¥100につき¥90で購入し、購入手数料¥10と共に小切手を振り出して支払った。

<解答>
(借方)有価証券190 (貸方)当座預金190

<解き方>
① 当座預金で支払ったので、右に「当座預金」を書く。
② A社社債は有価証券に含まれる。「有価証券」が増えたので、左に書く。
③ 購入手数料は有価証券の取得原価に含める。
 購入代価 200÷100×90=180
 取得原価 180+10=190

ポイント
購入手数料は有価証券の取得原価に含める。

有価証券を売却したとき

次の取引について仕訳しなさい。
本日、有価証券(帳簿価額¥80)を¥100で売却し、代金は現金で受け取った。

<解答>
(借方)現金100 (貸方)有価証券80
             有価証券売却益20

<解き方>
① 現金を受け取ったので、左に「現金」。
② 有価証券の減少なので、右に「有価証券」。
③ 差額が右側なので、「有価証券売却益」を使う。

ポイント
差額が右側にあれば、有価証券売却益
差額が左側にあれば、有価証券売却損

売却手数料の処理

有価証券を売却するときに、売却手数料が発生する場合があります。売却手数料の処理には次の2つの方法があるので覚えておきましょう。

■売却手数料を独立して費用処理する方法

本日、有価証券(帳簿価額¥80)を¥100で売却し、売却手数料¥10を差し引き、残額を現金で受け取った。なお、売却手数料は独立して費用処理している。

<解答>
(借方)現金   90 (貸方)有価証券80
   支払手数料10     有価証券売却益20

 

■売却手数料を売却損益に含めて処理する方法

本日、有価証券(帳簿価額¥80)を¥100で売却し、売却手数料¥10を差し引き、残額を現金で受け取った。なお、売却手数料は売却損益に含めて処理している。

<解答>
(借方)現金   90 (貸方)有価証券80
              有価証券売却益10

ポイント
有価証券の売却手数料は2つの方法がある。

まとめ

取得時のポイント:購入手数料は有価証券に含める。

売却時のポイント:差額が右側なら益、差額が左側なら損。

売却手数料のポイント:2つの方法がある。 

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10 Comments

  1. のっぽさん on 2019年9月15日 at 00:32

    「有価証券」(50円)購入時に支払い手数料(10円)と端数利息(20円)を払った=取得原価(80円)

    その場合、上記有価証券を売る際は貸方に書く取得原価には80円と書くのでしょうか?
    或いは裸金額の50円のみ、でしょうか?

    ご返答お待ちしております。

    • パブロフくん on 2019年9月16日 at 15:26

      端数利息は取得原価に含めませんので、50+10=60が取得原価となります。

  2. まっち on 2016年11月15日 at 10:54

    わかりやすくとても参考させて頂いてます!

    現在独学で学んでいるのですが、問題集で「有価証券を500円で売却し、小切手で受け取った」という問題があります。解答の仕訳では現金ではなく当座預金と記載があるのですが、有価証券の場合は小切手での受け取りでも当座預金になるのですか?
    特に以前当店が振り出したものともすぐに当座に預けたとも記載がありません。

    お分かりになれば教えて頂きたいです!

    • パブロフくん on 2016年11月15日 at 15:20

      コメントありがとうございます。
      私が書いた著書ではなく、詳細がわかりませんので、問題集の出版社にお問い合わせ頂いた方が良いかと思います。

  3. とり on 2016年11月1日 at 22:50

    いつも楽しく拝見しています!
    株式売却の際の下書きに悩んでいます。
    おすすめの書き方などはありますか?

    私の場合、取得原価がダイレクトに載ってない問題に苦戦しています。
    「◯株保有し〜」「そのうちの△株を売却し〜」のようなものだと計算が増えてその分下書きが多くなって、しっくりこないです。
    ゆっくりじっくりやれば、出来ない訳ではないのですが。プロの下書きをぜひ教えて下さい!

  4. りゅうと on 2016年9月22日 at 00:25

    有価証券を売却したときの
    有価証券の金額はどういう風に出せばいいのでしょうか?

    • パブロフくん on 2016年9月29日 at 06:47

      コメントありがとうございます。
      有価証券の金額は帳簿価額を使います。基本的には帳簿価額は問題文で与えられます。
      問題文に与えられない場合には、次のように考えてください。

      売買目的有価証券
      →前期末の時価(切放法の場合)
      →取得価額(洗替法の場合)

      満期保有目的債券
      →取得価額(原価法の場合)
      →償却原価(償却原価法の場合)

      関連会社株式
      →取得価額

      子会社株式
      →取得価額

      その他有価証券
      →取得価額

  5. おそば on 2016年5月5日 at 15:40

    早速回答くださり、ありがとうございます。
    独学なので、助かります。
    これからも参考にさせて頂きます。

  6. おそば on 2016年5月5日 at 15:14

    おせわになります。
    『簿記3級では、保有目的に分けずに、有価証券という勘定科目を使います。』
    と説明されていますが、例題では「売買目的有価証券」勘定が使われています。
    結局、これまで通り「売買目的有価証券」を使うのですか?
    それとも、「売買目的有価証券」の勘定は、【有価証券】とするのでしょうか?

    • パブロフくん on 2016年5月5日 at 15:32

      コメントありがとうございます。
      誤植がございまして申し訳ございませんでした。有価証券が正しいです。記事を修正致しましたので、ご確認の程よろしくお願い致します。