Q 税効果会計の問題で、前期末と当期末の損金不算入額が書いてあるだけで、どのように解けばよいのかわかりませんでした。前期末の損金不算入額はどのような影響があるのでしょうか?

Q 税効果会計の問題で、[資料2]に前期末と当期末の損金不算入額が書いてあるだけで、どのように解けばよいのかわかりませんでした。前期末の損金不算入額はどのような影響があるのでしょうか?

一時差異の表の金額を使って、期末の残高×法定実効税率-期首の残高×法定実効税率の差額を繰延税金資産に計上する意味がわかりません。テキストで学習したように、下記の計算式で繰延税金資産を計上するのではないでしょうか?
 期末(決算整理後)の超過額×法定実効税率=繰延税金資産

[資料1]決算整理前残高試算表の一部
 繰延税金資産 150,000円
[資料2]当期の税効果会計上の一時差異は、次のとおりである(法定実効税率は30%)

  期首 期末
貸倒引当金損金算入限度超過額 100,000円 120,000円
減価償却費限度超過額 400,000円 450,000円
合 計 500,000円 570,000円

 

A [資料1]決算整理前残高試算表に「繰延税金資産150,000円」が計上されている点がポイントです。つまり、前期の貸倒引当金に対する繰延税金資産30,000円(100,000円の30%)と減価償却に対する繰延税金資産120,000円(400,000円の30%)の合計150,000円は、前期末に計上済みの状況です。

取引の流れを理解するために、前期末の決算整理仕訳と当期末の決算整理仕訳をみていきましょう。

<前期末の決算整理仕訳>
 貸倒引当金に対する繰延税金資産 100,000円×30 %=30,000円
  繰延税金資産30,000/法人税等調整額30,000
 減価償却に対する繰延税金資産 400,000円×30%=120,000円
  繰延税金資産120,000/法人税等調整120,000

<当期末の決算整理仕訳>
前期末までに繰延税金資産が一部計上されているので、当期は不足分だけを追加計上する。
 貸倒引当金に対する繰延税金資産 120,000円×30 %=36,000円
 当期に追加計上する繰延税金資産 36,000円-30,000円=6,000円
  繰延税金資産6,000/法人税等調整額6,000
 減価償却に対する繰延税金資産 450,000円×30%=135,000円
 当期に追加計上する繰延税金資産 135,000円-120,000円=15,000円
  繰延税金資産15,000/法人税等調整15,000

●繰延税金資産の計算式について
テキストで紹介している繰延税金資産の計算式は、貸借対照表の金額を計算しています。つまり、「決算整理仕訳の繰延税金資産の金額」ではなく、「貸借対照表の繰延税金資産の金額」です。
 期末(決算整理後)の超過額×法定実効税率=繰延税金資産(貸借対照表の金額)

決算整理前の残高試算表に、繰延税金資産が計上されている場合、次の手順で決算整理仕訳の追加計上する金額を求めることになります。
①繰延税金資産の貸借対照表の金額
期末(決算整理後)の超過額×法定実効税率=繰延税金資産
②決算整理前の残高試算表の繰延税金資産
③決算整理仕訳で追加計上する繰延税金資産
 ①貸借対照表の金額-②決算整理前の残高=追加計上する金額