A 最終的に損益計算書と貸借対照表には、次の金額が計上されると考えるとわかりやすいです。
・当期分は支払保険料
・翌期分は前払費用
・翌々期以降の分は長期前払費用
例題を使って、どのように仕訳を書くのか、詳しくみていきましょう。
例題:
前期末(X01年3月31日)において、向こう10年分(X02年4月1日からX12年3 月31日)の保険料(毎年¥6,000で合計¥60,000)を繰延処理し、前払保険料勘定に¥6,000、長期前払保険料勘定に¥54,000を計上していた。当期の決算(決算日X03年3月31日)にあたり、適切な費用の期間帰属のための処理を行う。なお、当期首において再振替仕訳を行っていない。
解説
保険は前期末に契約しており、当期首に再振替仕訳を行っていません。このため、当期の保険料はまだ何も処理されていないことがわかります。
<決算整理前>
前払保険料¥6,000(X2年4月1日からX3年3月31日までの保険料)
長期前払保険料¥54,000(X3年4月1日からX12年3月31日までの保険料)
あるべき金額は下記のとおりですから、決算整理仕訳を必要です。
<損益計算書と貸借対照表の金額>
支払保険料¥6,000(当期分X2年4月1日からX3年3月31日)
前払保険料¥6,000(翌期分X3年4月1日からX4年3月31日)
長期前払保険料¥48,000(翌々期以降の分X4年4月1日からX12年3月31日)
<決算整理仕訳>
ステップ1 前期末の計上した前払保険料(X2年4月1日からX3年3月31日までの1年分)は、当期の支払保険料です。前払保険料を支払保険料に振り替えます。
支払保険料6,000/前払保険料6,000
ステップ2 翌期分(X3年4月1日からX4年3月31日)の保険料を長期前払保険料から前払保険料に振り替えます。
前払保険料6,000/長期前払保険料6,000
解答
支払保険料6,000/前払保険料6,000
前払保険料6,000/長期前払保険料6,000
別解
当期首の再振替仕訳を行い、決算整理仕訳で経過勘定を行っても正しいです。結果は同じになりますので、覚えやすい方で書きましょう。
支払保険料60,000/前払保険料6,000
長期前払保険料54,000
前払保険料6,000/支払保険料54,000
長期前払保険料48,000