CVP分析③ 応用編(販売単価がわからない)

CVP分析① 基礎編

CVP分析② 実戦編

CVP分析③ 応用編【今回】

 

パブロフくんあれ?解けないぞ!

お兄さんどうしたの?

パブロフくんお兄さん。教えてもらったCVP分析の公式で解けない問題が出てきたんだけど…。

お兄さんなるほど、この問題は、販売単価が書いてないから販売個数が出せないんだね。これも少し工夫すれば解けるよ。今回はCVP分析の応用編を勉強しよう。

 

今まで習ったCVPの公式では解けない場合

問題によっては、売上高の総額しか与えられず、販売単価が不明な場合があります。この場合は、今まで習った、販売個数を■個として、問題を解くことができません。しかし、いつもと同じ売上と利益の関係を使って問題を解くことができます。

<今まで学習した問題の資料>
【損益計算書】
売上 @2,000円×1,000個=2,000,000
変動費 @1,800円×1,000個=1,800,000
固定費 100,000
営業利益 100,000

 

<解けない問題の資料>
【損益計算書】
売上 2,000,000円
変動費 1,800,000円
固定費 100,000円
営業利益 100,000円

 

販売単価がわからない問題

販売単価がわからない問題の解き方について、見ていきましょう。こちらは試験でも出題されますので、必ず覚えておきましょう。

<問題>
次の損益計算書にもとづいて、(1)(2)の問いに答えなさい。

【損益計算書】
売上 2,000,000円
変動費 1,800,000円
固定費 100,000円
営業利益 100,000円

(1)損益分岐点の売上高を答えなさい。
(2)営業利益200,000円を達成するためには、いくらの売上高が必要か答えなさい。

 

<解答>
(1)1,000,000円
(2)3,000,000円

 

<解き方>
(1)損益分岐点の売上高
ステップ1 売上と利益の関係を書く。損益分岐点では、利益がゼロになるので、何個売れれば利益がゼロになるのかを考える。

 売上高-変動費-固定費=利益

ステップ2 今回は、販売単価と販売個数がわからないので、何個売るかを■個とする方法では解けない。このような場合、売上高を■円として解く方法を使う。

 売上高 ■円
 変動費 ?円
 固定費 100,000円
 利益 損益分岐点なので、利益は0円

ステップ3 変動費がわからないので、売上高変動費率を利用して、変動費を求めます。

売上高変動費率とは、売上高の何%が変動費かを表す比率のこと。

 売上高変動費率=変動費÷売上高×100

資料の損益計算書から、売上高変動費率を計算する。 

 変動費1,800,000円÷売上高2,000,000×100=90%

つまり、売上高の90%が変動費ということがわかる。これで必要な情報がすべて集まった。

 売上高 ■円
 変動費 ■円×90%
 固定費 100,000円
 利益 損益分岐点なので、利益は0円

ステップ4 ステップ1の売上と利益の関係を使って、売上高■円を求めます。

 売上高■円-変動費■円×90%-固定費100,000円=利益0円

  ↓ 90%は0.9なので、売上高■-変動費0.9■=0.1■となる

 0.1×■円-100,000=0 

  ↓次に、100,000を移動させる。

 0.1×■円=100,000円

  ↓最後に、100,000円÷0.1で■円を求める

 ■円=100,000÷0.1
  ↓
 ■円=1,000,000円(解答)

 

(2)営業利益200,000円を達成する売上高
ステップ1 売上と利益の関係を書く。

 売上高-変動費-固定費=利益

ステップ2 今回は、販売単価と販売個数がわからないので、何個売るかを■個とする方法では解けない。このような場合、売上高を■円として解く方法を使う。売上高変動費率は(1)で90%と計算済み。

 売上高 ■円
 変動費 ■円×90%
 固定費 100,000円
 利益 問題文より営業利益は200,000円
  ↓
 ■円-■円×90%-100,000円=200,000円

  ↓ 90%は0.9なので、売上高■-変動費0.9■=0.1■となる

 0.1×■円-100,000=200,000

  ↓次に、100,000を移動させる。

 0.1×■円=300,000円

  ↓最後に、300,000円÷0.1で■円を求める

 ■円=300,000÷0.1
  ↓
 ■円=3,000,000円(解答)

 

営業利益率が出てくる問題

営業利益率が出てくる場合の問題の解き方について、見ていきましょう。試験ではあまり出題されませんが、念のため解き方を理解しておきましょう。

<問題>
当期の販売情報は次のとおりであった。各問に答えなさい。
販売単価 @10,000円
変動費 @4,000
固定費 120,000円

問1 目標営業利益率35%を達成する売上高と販売量はいくらか?
問2 目標営業利益率35%を達成するときの営業利益の金額はいくらか?

 

<解答>
問1 売上高 480,000円
   販売量 48個
問2 営業利益 168,000円

 

<解き方>
ステップ1 情報を整理する。
営業利益率とは売上に対する営業利益の割合のこと。営業利益率が35%の場合、売上の35%が営業利益となる。

このようになる理由を式から確認すると

営業利益率=営業利益÷売上高×100

 ↓本問は営業利益率35%なので

35%=営業利益÷売上高

 ↓式を整理すると

営業利益=売上高×35%

つまり、営業利益は、売上高の35%の金額ということがわかる。

ステップ2 いつもどおり、売上と利益の関係を書く。

 売上高-変動費-固定費=利益

ステップ3 何個売るのか、まだ決まっていないので、■個とする。ステップ2の公式に一つ一つあてはめていく。

 売上高 @10,000×■個
 変動費 @4,000×■個
 固定費 120,000円
 利益 営業利益は、売上高の35%

売上高-変動費-固定=売上高×35%
 ↓
@10,000×■個-@4,000×■個-120,000円=@10,000×■個×35%
 ↓
10,000■-4,000■-3,500■=120,000
 ↓
2,5o0■=120,000
 ↓
■個=48個

営業利益率35%を達成する販売量は、48個。
営業利益率35%を達成する売上高は@10,000×48個=480,000円
この時の営業利益は、480,000円×35%=168,000円

 

パブロフくん公式は同じだけど、ちょっとコツが必要なんだね。

お兄さんそうなんだ。その場合、●●率を利用して、公式に入れていく、って感じだね。

パブロフくんなるほど~。ちょっと難しいけど、お兄さんを信じて、やってみるよ。

 

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31 Comments

  1. KEN on 2023年8月27日 at 22:09

    はじめまして、3級、2級の勉強で活用させていただいております。
    2級の「2023年度版 工業簿記総仕上げ問題集」の記載で不明点がございましたので、
    こちらで質問をさせていただいてもよろしいでしょうか

    P262の「CVP分析(販売単価が不明)」についてです。
    問1の解説であるP263では
    「売上高変動率=7,200万円/12,000万円×100=60%」と記載があり、
    以後の問題では変動費を60%(=0.6)とされています。

    一方で問3では「売上高が2,000万円減少するときの~」という前提条件が設定されており、
    P264の解説文では「(12,000-2000)-(12000-2,000)×0.6ー3,840=160万円」
    とされていますが、本問の売上高変動費がなぜ0.6となるのかがわかりません。
    「売上高が2000万円減少する」ことから、売上高変動費も「7,200万円/(12,000-2,000)」で算出するのではないでしょうか??

    • パブロフくん on 2023年9月13日 at 15:28

      はじめまして。総仕上げ問題集をご利用くださいまして、ありがとうございます!
      変動費というのは、製品を作れば作るほど発生する費用です。
      たとえば1個12,000円で売れるフライパンを作るために鉄が7,200円分必要な場合、鉄が変動費です。このときの売上高、変動費、売上高変動費率を計算してみましょう。
      1個作って売ると売上高12,000円、変動費7,200円、売上高変動費率0.6
      2個作って売ると売上高24,000円、変動費14,400円、売上高変動費率0.6
      10個作って売ると売上高120,000円、変動費72,000円、売上高変動費率0.6
      このように、変動費は売上高と同じ割合で大きくなっていくので、常に売上高変動費率は同じになります。
      その性質を利用して、問3で売上高が(12,000-2,000)となるときの変動費を(12,000-2,000)×0.6と表しています。
      フライパンの例でいうと、元々12,000万円つまり10,000個売上があったのですが、2,000万円減少して、10,000万円つまり8,333個の売上になってしまったということです。
      7,200 /(12,000-2,000)で計算してしまうと、7,200部分が「変動費」であるのにもかかわらず、鉄の使用が減った分が考慮されておらず、12,000万円(10,000個)売上があったときの金額のままということになってしまいます。

      • KEN on 2023年9月23日 at 21:56

        わかりやすい解答ありがとうございました!
        納得しました!

        • パブロフくん on 2024年1月20日 at 16:12

          お役に立てたようで良かったです。

  2. はる on 2019年9月29日 at 20:40

    損益分岐点の売上高を(たとえば)100万円引き下げるためには固定費をいくら引き下げる必要があるか というような問題はどうやって解けばいいのでしょうか。全くわからずかれこれ1時間、時間だけ無駄にしてます。

    • パブロフくん on 2019年10月1日 at 17:39

      詳しい内容がわからないので、お答えできませんが、お使いの書籍の解説を見てみて、わからないようでしたら、出版社に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

  3. みみ on 2019年9月4日 at 14:33

    こんにちは。
    いつもテキストを使わせて頂いています。
    算数の苦手な私ですが、3級はおかげで合格しました。

    テキストでも分からなく、
    こちらも見ましたが、

    売上高■円-変動費■円×90%-固定費100,000円=利益0円

      ↓ 【90%は0.9なので、売上高■-変動費0.9■=0.1■となる】←ここが分からない

     0.1×■円-100,000=0 

      ↓次に、100,000を移動させる。

     0.1×■円=100,000円(これは分かる)

    とありますが、【】で囲んだところの、0.1がどのように計算されて0.1になったのか分かりません。

    売上高■円-変動費■円×90%-固定費100,000円=利益0円
    だと、売上高■円⧿変動費0.9■=100.000
    となりそうですが、

    なぜ、売上高■-変動費0.9■=0.1■

    になるのですか?

    四則演算は、=をまたぐと+が⧿に、÷は×になるというのは分かるのですが‥。

    算数レベルなんでしょうが、分からないです。

    同じ理由で、342ページの例題1の、ステップ3の部分で、売上高■円⧿変動費(■×0.6)円⧿固定費3600円=利益0
    が、0.4■=3600
    (0.4はどこから来たのか??)

    になる理由も分かりません。

    教えて頂けるでしょうか。

    • パブロフくん on 2019年9月11日 at 21:01

      テキストをお使いくださり、ありがとうございます。
      まずは、売上高と変動費を丁寧に書くと、次のようになります。
       売上高 1×■
       変動費 0.9×■
      つまり、■が1個分、■が0.9個分の違いある、ということです。ですので、■が1個分と■が0.9個を引き算すると、■が0.1個になります。これを計算で表すと
       1×■-0.9×■=0.1×■
         ↓
       ■-0.9■=0.1■
      となります。0.1■は、このように計算しています。

      テキストP.342の場合、売上高は■が1個分、変動費は■が0.6個分です。引き算をあすると、■が0.4個分ですので、計算式で表すと
       1×■-0.6×■=0.4×■
      となります。

      こちらで大丈夫でしょうか。

      • みみ on 2019年9月17日 at 09:38

        ご丁寧にありがとうございます!

        意味がわかりました。

        引き続き、テキストを解いて頑張ろうと思います!

        また分からないところありましたら、質問させてください。

        ありがとうございました!

        • パブロフくん on 2019年9月17日 at 10:41

          解決したようで良かったです。合格を応援しています!

  4. 茅場町 on 2019年4月10日 at 23:59

    先生質問があります!
    動画の公式とこちらの公式は同じ物で左か右によってプラスマイナスが変わるのですね?
    損益分岐点、営業利益の達成と営業利益率の安全率のそれぞれの計算、分かりやすくて大変勉強になりました!この四点を押さえておけば大丈夫でしょうか?宜しくお願い致しますm(_ _)m

  5. ゆう on 2019年1月18日 at 20:53

    資格スクエアの応用問題でパブロフさんの公式に当てはめてよくわからない問題があるのでお時間があれば教えて頂きたいです。

    (資料)
    1、製品1単位当たりの標準原価など
    販売価格 20000円
    変動製造価格
    直接材料費8000円
    直接労務費1800円
    変製造間接費1200円 11000円
    1単位当たりの変動販売費 1000円
    貢献利益 8000円

    2、その他のデータ
    ⑴次期予定固定製造間接費15000000円
    ⑵次期予定固定販売費.一般管理費
    17000000円
    ⑶次期予定販売数量 8000単位
    ⑷期首、期末における在庫は無いものと
    し、生産量と販売量は等しい事とする

    問1 時期における損益分岐点での販売量及び
    売上高を求めなさい
    問2 次期における予定販売数量での安全余裕
    率を求めなさい
    問3 48000000円の営業利益を獲得する販売
    量及び売上高を求めなさい
    問4 売上高の15%の営業利益を獲得する販売
    量及び売上高を求めなさい
    問5次期予定販売数量のもとで売上高の30%
    の営業利益を獲得するためには次期の固
    定費をいくら削減しなければならないか

    解答
    問1 販売量4000単位 売上高80000000円
    問2 安全余裕率50%
    問3 販売量10000単位 売上高200000000円
    問4 販売量6400単位 売上高128000000円
    問5 要削減額16000000円

    お願いいたします!

    • パブロフくん on 2019年1月18日 at 23:29

      すみません、他社の教材に関する質問にはお答えできませんので、販売量をXとして解く方法を資格スクエアへ質問して頂けますと幸いです。ご了承ください。
      お持ちでしたら、テキストCh13、総仕上げ問題集Ch11-02が同様の問題ですので見てみてください。

  6. パブ男 on 2018年12月9日 at 15:28

    こんにちは。
    こちらの解説と、動画解説(直接原価計算 cvp分析)を見て疑問に思いましたので
    教えていただけないでしょうか。

    こちらの解説では、公式が売上高=売上原価(変動費+固定費+利益)とされていますが、動画解説では、売上−変動費−固定費=利益とされているのは何故でしょうか?

    • パブロフくん on 2018年12月11日 at 14:17

      売上原価とは書いていませんので、誤解されないようご注意ください。
      下記の2つはどちらも同じです。変動費と固定費を左側に移動しただけです。

      売上高=変動費+固定費+利益

      売上−変動費−固定費=利益

      • パブ男 on 2018年12月12日 at 13:40

        お返事ありがとうございます。
        すみません、ブログ記事 CVP分析① 基礎編(損益分岐点とは? )と動画解説 直接原価計算cvp計算についての質問でした。
        おかげさまで無事解決できました。
        どうもありがとうございます。

        • パブロフくん on 2018年12月14日 at 21:37

          解決したようで良かったです。合わせてテキストを復習しておきましょう。

  7. さゆり on 2018年10月16日 at 13:39

    質問お願いします。

    計算途中の営業利益率35%が3.5になるのは、

    @10円×35%=3.5・・・・ですか?

    • パブロフくん on 2018年10月16日 at 18:25

      はい、そうです。35%は0.35ですので、そのようになります。

  8. えな on 2017年3月28日 at 11:45

    他の参考書を使っていて公式が難しくて理解できなかったんですが、こちらの公式で理解できました!!
    助かりました!ありがとうございます☆
    こちらのテキストにしたらよかった~~><

    • パブロフくん on 2017年3月28日 at 18:46

      コメントありがとうございます!
      お役に立てて良かったです♪

  9. ひろ on 2016年9月22日 at 08:54

    すみません
    上記公式 売上高=変動費+固定費+利益で
    営業利益率からの求め方がわからない問題がありました。

    販売単価100円 変動費70円 固定費45万円
    営業利益率30%時の売上高と販売量の求め方を教えて頂けないでしょうか。

    • パブロフくん on 2016年9月29日 at 06:56

      コメントありがとうございます。
      上記の問題自体が成り立っていません。
      貢献利益率を計算すると、(100-70)÷100=0.3となり、貢献利益率30%です。
      営業利益は、貢献利益-固定費で計算しますので、固定費の金額だけ貢献利益より小さくなります(貢献利益>営業利益となる)。
      営業利益率も同様に小さくなり、貢献利益率30%より低くなるため、貢献利益率30%=営業利益30%となる問題の前提条件がおかしいです(貢献利益率>営業利益率となる)。
      作問された出版社もしくは講師の方に直接問い合わせしてみてはいかがでしょうか。

      • ひろ on 2016年9月29日 at 21:52

        ご回答ありがとうございます。
        そういう問題はない、前提条件がおかしいで
        回答になっております。
        自分で計算していたら答えが導けなくなったので、その理由がよくわかりました。

        ありがとうございます。

        • パブロフくん on 2016年9月29日 at 23:09

          解決したようで良かったです♪

  10. ポッキー on 2016年6月10日 at 09:52

    すごい!他のテキスト見て難解な公式?に??だったのが一気に
    解けました!こんなにシンプルで簡単な解き方があったんですね!ありがとうございます!

    • パブロフくん on 2016年6月10日 at 12:40

      記事がお役に立てたようで良かったです。
      勉強頑張ってください♪

  11. 水冷 on 2016年6月1日 at 00:10

    理解できました!
    ありがとうございます(*´ω`*)

    • パブロフくん on 2016年6月1日 at 00:22

      ご理解頂けたようで良かったです。勉強頑張ってください♪

  12. 水冷 on 2016年5月31日 at 17:21

    いつも、拝見しております。
    まだ工業簿記を始めたばかりで、よくわからず。

    CVP分析の営業利益率から計算するしくみ?なぜ、2.5になるのかわかりません。
    すみませんが、教えて下さい。

    • パブロフくん on 2016年5月31日 at 19:58

      コメントありがとうございます。
      数式の部分を加筆しました。こちらで大丈夫でしょうか。