建設仮勘定の流れ

お兄さんこんにちはー。新しいお店も結構できてきたね。

パブロフくんそうなの。やっと商売を再開できるよ。

お兄さんそういえば、建設中でも仕訳をしなきゃいけないんだよ。

パブロフくんえっ!?そうなの?

 

建設仮勘定の一連の流れ

建物の建設を建設会社に依頼した場合、完成まで数年かかることが多いです。そして、長期間の工事の場合、完成までに契約金の一部を前払いすることが一般的です。では前払いした金額をどのように仕訳をするのでしょうか。

建物を計上するのは「建物が完成・引き渡しされた時点」です。完成するまでは建物勘定を使うことができません。
そのため、建設途中の固定資産に関する前払金を、一時的に「建設仮勘定」へ計上しておきます。そして、完成・引き渡しされた時点で「建設仮勘定」から「建物」へ振り替えることになります。

1.建設途中に前払した時

新店舗を新築中に、建設会社に対し建設代金の一部¥10,000を現金で支払った。

<解答>
(借方)建設仮勘定 10,000 (貸方)現金 10,000

<解き方>
① 問題文の『新築中に建設代金のの一部を支払った』との文言より、建設仮勘定を使うことがわかる。左に書く。
 建設仮勘定10,000 /

② 現金で支払ったので、右に「現金」と書く。
 建設仮勘定10,000 / 現金10,000

 

2.建物が完成した時

新築中だった店舗が完成し、2月1日に引き渡しを受けていたが、この取引が未記帳であった。建設仮勘定の残高¥20,000のうち、新店舗に関する前払分は¥10,000である。

<解答>
(借方)建物 10,000 (貸方)建設仮勘定 10,000

<解き方>
店舗が完成し、引き渡しを受けたので、建設仮勘定から建物に振り替えます。

①新店舗に関する「建設仮勘定」を取り崩します。
     /建設仮勘定10,000

②建物が完成したので、左に書きます。
 建物10,000/建設仮勘定10,000

 

パブロフくん簡単だね。

お兄さん建設仮勘定から振り替えた建物について、決算整理で減価償却の計算を忘れないようにね。

パブロフくんえっ!?

 

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16 Comments

  1. とく on 2023年8月4日 at 17:25

    初めてまして。
    パブロフ日商簿記のテキストにあった建設仮勘定の問題について質問です。

    『既存の工場の増設工事について、3回に分けて各¥300,000を分割支払いする建設工事契約を締結し、それぞれ建物仮勘定に計上している。これが完成して最終回の支払いを当座預金から行い、また、建設工事代金の総額¥900,000を建物に振り替えた。』
    という問題で、答えの仕訳が

    建物仮勘定300,000/ 当座預金300,000
    建物900,000/ 建設仮勘定900,000

    となる理屈は分かるのですが、別の問題集にあった

    『かねて建設中の建物が完成し、引き渡しを受けた。この建物請負金額¥20,000,000のうち、未払分¥6,000,000を小切手を振り出して支払った。なお、支払額全額を建物勘定に振り替えた。』
    の答えの仕訳は

    建物20,000,000/ 建設仮勘定 14,000,000
    /当座預金 6,000,000
    となっていました。
    どちらの問題も支払額全額を建物に振り替えているのに、建物仮勘定を合算するか否かが異なっているのに疑問を感じます。
    この違いはどこから生まれるのでしょうか?

    • パブロフくん on 2023年9月13日 at 11:39

      はじめまして。コメントありがとうございます。
      一度「建設仮勘定」を経由させるか否かは、実際の試験で出題されたときに、問題文の読み取り方の違いで各受験生、各予備校講師の間で議論が交わされました。
      結果として「建設工事代金の総額¥900,000を」といった総額を示唆する問題文であった場合は次のように一旦、建設仮勘定を経由させて総額900,000円を建物に振り替える仕訳が正解(そうでない仕訳は不正解)となりました。
      建物仮勘定300,000/ 当座預金300,000
      建物900,000/ 建設仮勘定900,000

      逆に総額を示唆しない問題文は「建設中の営業用店舗の完成にともない工事代金の残額¥300,000を小切手を振り出して支払い、店舗の引渡しを受けた。この店舗に対しては工事代金としてすでに¥500,000の支出を行っている。なお、小切手で振り出した¥300,000については、一度建設仮勘定に振り替えることなく、直接建物勘定に振り替えること。」のように、建設仮勘定を経由しないことを明記した問題文になります。
      建物800,000/建設仮勘定500,000
            当座預金300,000

      なお、パブロフの総仕上げ問題集に「かねて建設中であった建物の工事が完了し、10月1日に引き渡しを受けたが未処理であった。この建物の工事代金の残金200,000千円はX3年5月1日に支払いの予定である。なお、建設中の建物はこの他にない。」という問題文があります。
      建設仮勘定を経由するか否か明記されていませんが、こちらは実は財務諸表作成の問題となっており、決算整理前残高試算表に「建設仮勘定100,000」が与えられています。
      仕訳を答えるのではなく、貸借対照表を答えるのであれば、
      建物300,000/建設仮勘定100,000
            未払金200,000

      建設仮勘定200,000/未払金200,000
      建物300,000/建設仮勘定300,000
      どちらの仕訳を書いても貸借対照表の金額は同じになります。

      とくさんにご提示いただいた問題文がどのような問われ方なのかにもよりますが、精算表や財務諸表の問題であれば、どのような仕訳の書き方でも大丈夫です。
      もし仕訳を問われている場合には、問題文の指示があいまいな印象を受けますが、もしかしたらネット試験では借方と貸方に同一の勘定科目を書いてはいけないという指示があるので、「当然に借方と貸方の勘定科目は相殺しなさい」という意図があるのかもしれません。

  2. on 2019年6月13日 at 19:37

    こんばんは。

    建物やソフトウェアの取得原価は、購入代金+付随費用となると思いますが、
    簿記2級の商業の総仕上げ問題集のP.59の1の仕訳問題で借方が、ソフトウェア25,000長期前払費用6,500,000となっていますが、
    私は、保守費を付随費用と思い、借方をソフトウェア31,500,000と仕訳してしまいました。
    保守費が、なぜ長期前払費用になるのか、わかりません。

    • パブロフくん on 2019年6月18日 at 13:37

      総仕上げ問題集をお使いくださり、ありがとうございます。
      ソフトウェアの保守費は、購入後~5年間の保守を行うための費用です。例えば、パソコンやスマートフォンが新しくなった場合でも、ソフトウェアがそのまま使える状態を維持する必要があります。そのまま使える状態を維持するために、保守が必要なのです。購入時に5年間の保守契約を結んだ場合、購入後~5年後にわたって、保守が行われます。1年分を毎期、保守費として計上することになります。
       保守費1,500,000/長期前払費用1,500,000

      取得原価に加算する付随費用は、使う前にかかる諸費用ですので、購入後に発生する費用ではないのです。

  3. しげち on 2017年5月12日 at 14:25

    日々勉強させて頂いております。
    1つ質問したいのですが、建物が完成してから引渡し前の期間に支払った代金は、建設仮勘定で良いのでしょうか。
    日本商工会議所が出しているサンプル問題では、建設仮勘定は✕だとされていました。
    建物仮勘定は、引渡しされていなくても完成とともに使わないものですか?

    • しげち on 2017年5月12日 at 15:51

      ちなみに例題はこれです

      (1)使用する目的で建物を建てることになった場合、工事代金の一部を引渡前に支払った際は、「建物仮勘定」を用いて処理する。

      これは○か×か という問題で、正解は × だそうです。

    • パブロフくん on 2017年5月12日 at 16:02

      勘定科目名が「建物仮勘定」ではなく「建設仮勘定」が正しいです。建物ではなく建設です。質問の文章でも混同されておりますが「建設仮勘定」が正しいです。
      サンプル問題は解説がありませんので、受験生の方が利用するのはオススメできません。解説が掲載されているテキストや問題集をお使い頂けますと幸いです。

      • しげち on 2017年5月16日 at 08:12

        あっ…本当ですね…
        勘定科目名に騙されたんですね
        仮勘定にしか目か行ってなかったので
        建物 と 建設 が違うのに気が付きませんでした(T_T)
        こういうのが合否をわけちゃうんですね…
        もっと注意して問題を読むようにします
        ありがとうございました

        • パブロフくん on 2017年5月18日 at 12:23

          解決したようでよかったです。

  4. ローガン on 2017年1月21日 at 20:12

    2月の3回目受験にむけて、やっとエンジンが暖まってきたところです。
    ネットDL模擬試験「実践問題2016 #1」のQ1(4)について質問です。

    自分は本番#144のQ1(1)のソフトウェア仮勘定と同じ感覚で処理しました。
    問題文の「”それぞれ”(=4回分)設仮勘定に”計上”している」もあわせて
    裏仕訳として
       「建設仮勘定 8,000/【未払金】 8,000」 (cf 営業外支払手形)
    とだして
    そこから 4回分割で、未払金を当座預金振込みによって段階的にクリアしていくプロセスです。
       「【未払金】 2,000 / 当座預金 2,000」 *3回 後に

    「【未払金】 2,000 / 当座預金 2,000」

    「建物(ソフトウェア) 8,000 / 建設(ソフトウェア)仮勘定 8,000 」 (修繕費はオミット)

    正解は「建設仮勘定 2,000k / 当座預金 2,000k」
    とあり、実際、未払金と建設仮勘定を対応させることに疑問を感じている方がけっこういらっしゃるようです。「建設仮勘定 未払金」検索すると、「教えてサイト」で「これはありえないのでしょうか?」という疑問があること自体に驚きました。私はもちろん思いつきもしませんでした。

    予備知識がない自分としては(#144 Q1(1) や あるいは ノー考察で、営業外支払手形 ≒ 未払金とひねりなしでおきかえたが、どこがちがうの?)、かえって混乱している状況です。
    「それぞれ~計上している」というのも、建築スタート時点で計上=仕訳と解釈したために、解答だと、4分割の内後3回分の仮勘定が支払われるまで現れないことも違和感の一つです。

    よければ補足いただければ幸いです。

    (余談ですが、「計上」という簿記業界用語の把握も、今回も含めて、調べるほど、もつれている状況です。過去問#130 Q4 の賃金やdepの計上が 1.製造間接費に組み込むことなのか、2.給与「額」を計上することなのか(給与 1000 / 本社 1000)、迷いつつ、一応、帳簿への計上だから、仕掛品に組み込む(書き込む)作業をすることだな、と強引に納得させている状態です(過去問#133 Q4 (実際に)”支払った”が計上との対比で 給与 1000/本社(現金) 1000 ということなのだろう、と)

    ※未払金が選択肢にないかと思ったらあったのでそこはセーフ、ただ、ソフトウェアの問題は「全額を未払い計上し、4回分を」とあるが、模試では「分割払い~契約締結し、~建設仮勘定を計上」とあるから、計上=契約で?

    • ローガン on 2017年1月21日 at 20:38

      追記:
      「教えてサイト」内での具体的な記述は、

      ”建設仮勘定の定義では、手付金などの「支出」がなされた際に計上するものとされています。
      これに従うと、(借)建設仮勘定 /(貸)未払金 という仕訳は、未だ支出がなされていないのでありえないということになります。”

      結論は一応OKあるいは、決定権は社長に云々とありますが、それよりもこの定義そのものに驚きましたし、この質問の柱になるので引用させてもらいます。
      それならば、やはり、未払金は論外、となります。さらに、営業外支払手形は手付・現金側として一線がひかれるし。

      • パブロフくん on 2017年1月21日 at 22:37

        コメントありがとうございます。問題文に応じて、判断するが正しいです。
        ネットは会計基準の裏付けのない情報が多いので、信頼性は低いと理解したうえでご活用ください。

        ①問題の解き方
        問題文の指示に従って仕訳を書くことになります。
        第144回第1問小問1では「全額を未払計上」と書いてありますので、最初に全額を建設仮勘定と未払に計上します。
        一方、実践問題①の第1問小問4(第139回第1問小問1で出題)では、特に詳しい指示がありませんので、建設仮勘定に計上します。
        試験委員は過去問を参考にして作問しますので、第139回、第141回で建設仮勘定を出題し、改題した内容を144回で出題したという流れがあります。

        基本的には、テキストに書いてある定義に従い、建設仮勘定は代金の前払いと考えて解けば95%の問題は解けます。例外として、問題文に「全額を未払計上した」と指示があれば、指示に従い、全額を建設仮勘定と未払金を計上します。

        ②建設仮勘定と未払金の関係
        契約書の条件や会社の経理慣行によって、ケースバイケースです。完成・検収時ではなく契約時に、資産を受け取る権利が確定し、代金全額の債務が確定する場合もあります。資産や負債の定義に該当する場合、建設仮勘定を資産に計上し、未払金を負債に計上します(※資産と負債の定義は、概念フレームワークをお調べください)。
        そのような背景もあり、問題文で「全額を未払計上」と指示があるわけです。指示がなければ、未払計上しません。

        テキストP.138ので取引の流れが大切ですので、こちらを原則的な処理と考えて学習して頂けますと幸いです。

        • ローガン 【長文多謝】 on 2017年1月22日 at 14:02

          こんにちは、パブロフ先生、ご丁寧な解答本当にありがとうございました。

          特に②の部分の理解度(というか、実務、知識共に土台0スタートで、会計、簿記の実務全てに対して)が低い状態ですが、自分なりに解釈してみました。
          自分の疑問は、「未払計上した」という”指示”がある場合は「未払」。”詳しい指示がない場合”は小(5%)は大(100%)をかねるということで、(95%)「建築仮勘定 ×× / 当座 ××」が無難だが、それでは(5%)「未払金 ×× / 当座 ××」では不正解なんですか?というものでした。
          というのも、#144 Q1 (1)の本番受験時も、「未払計上」という記述関係なしで、ノータイムで全額一括「仮勘定」計上するという処理しか思いつかず、今回の模試誤答でも同様だったので、本番では大丈夫かな?と不安になったので。「仮勘定」項目より「割賦」項目の印象が強いというか混同させたからかな。
          (とはいえ、次回#145でさすがに同じパターンを擦ることはないでしょうし、万が一でても、Q3の一部だろうから、先生のいうとおり、必然的に指示・データが添付されているから大丈夫だわ、と割り切っていた部分もあったのですが、、、)

          ②の結論として、小は大をかねない、「指示がなければ、未払計上はしません」とあり、かなり驚いています。
          ただ、「会計・実務上はしない」のか、「しない= ありえない or してはダメ なので 試験では誤答 ×」 なのかは、やはりまだ判断できませんでした。ごめんなさい。
          (別に 「未払金」に未練があるわけじゃないですよ、95%側の仕訳をちゃんと覚えれば問題ないので)
          その境界部分を理解するにはやっぱり、②の部分のディティールや背景の把握が必要ですね。それ以前に、その境界(経理慣行による線引)が存在すること自体、はじめて知ったぐらいなので、それだけでも勉強になりました。もどって、#144Q1のソフトウェア仮勘定の問題での、「未払金計上」という一文も、表面的には解法のヒント項目でありつつ、この経緯を知ってから眺めると、実務上はそんな裏が設定されていることになるのか、と。
          重ねて、面倒な質問にご丁寧な解説、本当にありがとうございました。

          ネット検索については、自分と同じ疑問をもった方の存在を確認できたり、ひっかかった小骨の存在を具体化してくれるので、本当にありがたいです。たとえば、工業簿記での材料、労務の差異分析では価格差異を数量差異より優先するのに(口の中にTがあるBOX図)、(同じ次元で語っていいのかもわからないんですが)、商業の繰越商品の処理、棚卸減耗→商品評価損では逆に「数量優先で価格」 日口 BOX図 なんだ = 田の右上の領域の疑問 、とか、「”なぜ”配当金の1/10を”なぜ”資本金の1/4まで積み立てる?」とか。
          「シシトウ準準」(自作のゴロあわせ)といった暗記と定着化反復は必須かつ十分で、実際、理屈付けは、今回のように付け焼き刃で混乱を深めるリスクすらあるのですが、同時に、土台がないゆえに、それだけでは本番で舞い上がってしまいそうな不安な部分(田の右上は価格だっけ?数量だっけ?)がぬぐえないのも事実です。その(レクチャーサイトでは、冗長として切り捨てられている)補完情報は、同じ視線の高さで発信されている教えて系・ブログにむしろ当たりが多いので、パブロフ先生をはじめとするレクチャーサイトと併用で活用させてもらっています。

          • パブロフくん on 2017年1月23日 at 05:47

            解決したようで良かったです。勉強頑張ってください。

  5. TK0826 on 2016年7月28日 at 07:33

    簿記2級の受験にむけて日々勉強しています。例題に掲載しえている建設仮勘定残高の内訳に前払い分があった場合において、前払い分の仕訳は不要となり、前払い分の金額を差し引いた額で建設仮勘定の仕訳をするという理解となりますか。分かりずらい文章となり申し訳ありません。

    • パブロフくん on 2016年7月28日 at 10:25

      はい、基本的にはそうです。問題によっては、細かい指示があるので、指示に従って回答することになります。