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リース取引の種類と仕訳

テーマ: リース取引

日商簿記2級では、2017年6月試験からリース取引が出題されるようになります。今回はリース取引の概要や会計処理を詳しく説明します。この記事では細かい内容を説明していますが、簿記2級対策としてはテキストに書いてある内容を学習すれば大丈夫です。

 

リース取引とは

リース取引とは、貸手(リース会社)が借手(当社)に対しコピー機やトラックなどを使用する権利を与え、借手は使用料を貸手に支払う取引のことです。簡単にいうと、コピー機をリースで借りたのでお金を支払う、これがリース取引です。

固定資産の購入とリース取引の違いは次のとおりです。固定資産の割賦購入は、分割払いする点はリース取引に似ていますが、あくまで固定資産の購入です。

  固定資産の購入 リース取引
資産の所有権 当社のもの リース会社のもの
代金の支払い 購入先に支払う
→一括か分割(割賦)
リース会社に支払う
→分割
会計処理 購入時に資産に計上し、
決算整理で減価償却を行い、
費用化する
リース取引の種類に
よって処理が違う

 

リース取引のメリットとデメリット

リース取引のメリットは、次のとおりです。

・固定資産の購入を一括で支払うお金がない場合でも購入できる(コピー機などの高額な事務機器などを、手許の現金預金が少なくても利用できる)。
・リースの契約によっては、当社で固定資産の管理や修繕を行う必要がない。
・費用やキャッシュアウトが毎期一定額になるので予算が立てやすい。
・ライフサイクルが早い固定資産(ノートパソコンなど)は新製品を使える状況を維持できる。
・メンテナンスを当社が行う必要がなくなり、リース会社に丸投げできる(コピー機など)。
・資産に計上しないことにより、総資産の金額を減らすことができる(オフバランス化)。

リース取引のデメリットは、次のとおりです。

・手数料や利息分を上乗せされるので、購入するより総額が高くなる。
・リースの契約によっては、リース会社に固定資産を返却する必要がある。
・リースの契約によっては、リース取引を途中で解約できない。

以上のようになります。簡単にいうと、①分割払いしたい、②管理が面倒なのでリース会社に丸投げする、ためにリース取引を利用します。

リース取引の例としては、カラオケBOXのカラオケ機器がリース取引です。カラオケBOXがお客さんから受け取る利用料(売上高の役務収益)は毎日少しずつ発生しますので、カラオケ機器もそれに合わせて毎月支払うことで、お金が手許に少なくても開店して営業することができます。一括前払いは元手が必要なので、多店舗で営業を予定していると元手の準備が大変です。

 

リース取引の種類と簿記2級の範囲

簿記2級では、一部のリース取引だけを学習し、簿記1級ですべてのリース取引を学習します。簿記2級を受験される方は、合格のために必要な簿記2級の範囲だけを学習しましょう。

※セール・アンド・リースバック取引は簿記1級で学習します。

所有権移転ファイナンス・リースは試験範囲外

所有権移転ファイナンス・リース取引が試験範囲かどうか、という質問を頂くことがありますが、簿記2級の範囲は日本商工会議所のホームページ(こちら)に記載のとおりです。
①ファイナンス・リース取引の借手側の処理(利子込み法、利子抜き法(定額法)) 
②オペレーティング・リース取引の借手側の処理

所有権移転ファイナンス・リース取引は利子抜き法(利息法)で処理しなければなりません。つまり、利子抜き法(利息法)が簿記1級の試験範囲ということは、所有権移転ファイナンス・リース取引も当然に簿記1級の試験範囲となります。

簿記2級では、上記①を試験範囲としていることから、「所有権移転外ファイナンス・リース取引のうち、リース資産総額に重要性が乏しいと認められる場合」を出題範囲としていることがわかります(リース取引に関する会計基準の適用指針31)。

各受験性がこのように試験範囲を厳密に把握するのは手間がかかりますので、テキストに記載されている内容を正として学習することをオススメします。ただし、平成29年6月以降の試験範囲に対応したテキストを使うことに留意してください。

 

リース取引の分け方

簿記2級では、理論の穴埋め問題対策としてオペレーティング・リース取引とファイナンス・リース取引の分け方を理解しておく必要があります。なお、ファイナンス・リース取引の所有権移転と所有権移転外の分け方は簿記1級の学習範囲ですので割愛します。

違いを理解するために、それぞれの定義を確認します(リース取引に関する会計基準 5、6より)。

 「ファイナンス・リース取引」とは、リース契約に基づくリース期間の中途において当該契約を解除することができないリース取引又はこれに準ずるリース取引で、借手が、当該契約に基づき使用する物件(以下「リース物件」という。)からもたらされる経済的利益を実質的に享受することができ、かつ、当該リース物件の使用に伴って生じるコストを実質的に負担することとなるリース取引をいう。

「オペレーティング・リース取引」とは、ファイナンス・リース取引以外のリース取引をいう。

これを読んでも何を言っているのか、よくわからないと思います。簡単に説明すると次のとおりです。

◆リース契約の内容
①ノンキャンセラブル(途中で解約できない)
②フルペイアウト(リースの保守やメンテナンスを当社が負担する)

上記①と②の両方を満たすリース取引は、ファイナンス・リース取引です。

①だけ満たす、②だけ満たす、両方満たさないリース取引は、オペレーティング・リース取引です。

参考:①と②を満たすリース取引は、実質的には固定資産を割賦購入した場合と同じ取引なので、固定資産の割賦購入と同じように固定資産を計上し、減価償却を行い、支払利息を分けて処理する(売買処理)、という考え方をします。それ以外のリース取引は、固定資産を借りているだけなので、支払家賃などの経費と同じように発生額を費用処理する(賃貸借処理)、という考え方をします。

 

リース取引の仕訳

リース取引の仕訳について、例題を使って見ていきましょう。

例題 当社は次の条件でリース取引を契約した。当期は平成29年4月1日から平成30年3月31日の1年間である。
・リース契約日 平成29年4月1日
・リース期間 5年間
・リース料 年額100円(毎年3月末に後払い)
・リース資産 見積現金購入価額450円

問1 リース契約がオペレーティング・リース取引である場合
(1)リース契約時の仕訳を答えなさい。
(2)3月末のリース料支払い時の仕訳を答えなさい。

解答
(1)仕訳なし
(2)支払リース料100 / 現金100

問2 リース契約がファイナンス・リース取引であり、利息の処理は利子込み法の場合
(1)リース契約時の仕訳を答えなさい。
(2)3月末のリース料支払い時の仕訳を答えなさい。
(3)決算日における減価償却の決算整理仕訳を答えなさい。

解答
(1)リース資産500 / リース債務500
(2)リース債務100 / 現金100
(3)減価償却費100/リース資産減価償却累計額100

解説 ファイナンス・リース取引の利子込み法の場合、(1)リース契約時はリース料総額でリース資産とリース債務を計上します。また、(2)リース料支払い時に支払利息は出てきません。(3)減価償却費はリース資産の金額を使い、残存価額ゼロ、リース期間を耐用年数として計算します。

リース料総額 100円×5年間=500円
減価償却費 500円÷5年間=100円

問3 リース契約がファイナンス・リース取引であり、利息の処理は利子抜き法の場合
(1)リース契約時の仕訳を答えなさい。
(2)3月末のリース料支払い時の仕訳を答えなさい。
(3)決算日における減価償却の決算整理仕訳を答えなさい。

解答
(1)リース資産450 / リース債務450
(2)リース債務90 / 現金100
   支払利息 10
(3)減価償却費90/リース資産減価償却累計額90

解説 ファイナンス・リース取引の利子抜き法の場合、(1)リース契約時はリース資産の見積現金購入価額450円でリース資産とリース債務を計上します。(2)リース料支払い時に支払利息が出てきます。(3)減価償却費はリース資産の金額を使い、残存価額ゼロ、リース期間を耐用年数として計算します。

リース料総額 100円×5年間=500円
見積現金購入価額 450円
利息相当額 500円-450円=50円
1年あたりの支払利息 50円÷5年=10円
リース料支払い時に取り崩すリース債務 450円÷5年=90円
減価償却費 450円÷5年=90円

 

リース取引の細かい論点

リース取引でも、減価償却で出てくる月割り計算や経費で出てくる経過勘定を考える必要があります。第2問で出題される可能性があるリース取引の総合問題、第3問精算表や財務諸表の問題を解く場合に注意しましょう。

注意点①
期中に契約したリース資産の減価償却を行う場合、契約日から期末日までの月割り計算を行います。

注意点②
リース取引の契約条件によって、リース料の支払日と決算日のズレにより、経過勘定が生じることがあります(下書きの線表を書く習慣が大切です)。忘れないように注意しましょう。

  支払条件
後払い 前払い
オペレーティング・リース取引 未払リース料 前払リース料
ファイナンス・リース取引 利子込み法
利子抜き法 未払利息 前払利息

※ 後払いでリース料の支払日が決算日と同じ場合は、経過勘定が発生しません。例えば、決算日が3月31日であり、リース契約を4月1日に契約し、第1回目の支払いが3月31日後払いだった場合は経過勘定は発生しません(考え方は借入金の支払利息と同じです)。

※ 経過勘定が発生する場合の仕訳問題はパブロフ簿記アプリに収録しています。

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コメント (22)
  • ぷりん より:

    いつも大変楽しく勉強できています!

    リース取引の経過勘定について質問があります。
    支払利息の未計上分の計上を行う場合、
    支払利息  〇〇 円 / 未払利息  〇〇 円
    というのは理解したつもりでした。

    他の問題もと思い、ネットでリース取引についての問題を探していると回答が
    支払利息  〇〇 円 / リース債務  〇〇 円
    というものがあったのですが、詳しい解説もなく、ハテナで頭がいっぱいになりました。
    「リース債務」という場合もあるのでしょうか。
    ただの誤植なのでしょうか。
    教えて頂ければ嬉しいです。

    • パブロフくん より:

      コメントありがとうございます。
      他のサイトの内容を私に質問されても困りますので、ご覧になったネットのサイトにお問い合わせ頂けますと幸いです。
      簿記2級で学習するリース取引は、一部のリース取引だけですので、簿記2級の範囲に沿った学習することが重要です。基本となるテキストや問題集に書いてある取引が大切ですので、ネットの情報に惑わされないように勉強しましょう。

      • ぷりん より:

        ありがとうございました。

        ネットで探したPDFの問題だったので問い合わせ先などをよく確認せずに失礼いたしました。

        今から探してみようと思っておりますが、このたびの日商簿記2級の試験範囲ではないのか、それとも、
        問題の書き方によっては
        支払利息/未払利息  が  支払利息/リース債務
        となる可能性もあるのかを知りたくなりました。

        これからもよろしくお願いします。

        • しげち より:

          多分、商工会議所から出てる新論点のサンプル問題集の「問題5」の備品Cですよね?

          確かに回答には
          支払利息 ○○ /リース債務 ○○
          と書いてあります。

          私も同じ疑問を持ちましたが、多分回答欄の
          「リース債務(未払利息を含む)」
          という記述があるからかと認識しました。
          この記述から 未払利息 を リース債務
          に置き換えろとは… ひっかけみたいなものですね。

          これが本試験に出たら…泣くしかない(笑)

          • パブロフくん より:

            返信ありがとうございます。
            会計基準であるリース取引の実務指針では未払利息を使っていますので、問題文で具体的な指示がない限りリース債務に含めることはありません。
            ご指摘の通り、日商のサンプル問題では、リース債務(未払利息を含む)と書いてありますので、指示に従うことになります。

  • 馬っ子 より:

    こんにちわ!いつも書籍を通じて楽しく勉強させていただいてますm(__)m
    リース取引の利子抜き法のうち、「級数法」なるものが1級の試験範囲に入っているのですが、これって1級の勉強だとやった方が良いでしょうか?

    • パブロフくん より:

      コメントありがとうございます。
      簿記1級ではリースの級数法も試験範囲ですので勉強しておきましょう。

  • かな より:

    こんにちは。
    総仕上げ問題集 リースの問題で教えて下さい(83ページ)
    備品Cは、
    当期の支払いはないのでリース料の仕分けなし。→リース料の当期分(平成30年間1月1日~3月31日)をなぜ未払計上しないのか?

    利子抜き法では未払利息を計上するのに、リース料は未払計上しないのはなぜですか?

    よろしくご指導ください。

    • パブロフくん より:

      総仕上げ問題集をお使いくださり、ありがとうございます。
      ファイナンス・リースとオペレーション・リースは根本的な仕訳が違います(テキストを復習しましょう)。
      ・ファイナンス・リース取引
      →固定資産の売買処理と同じ取引と考え、減価償却によって費用処理する。固定資産の減価償却で経過勘定は出てきません。

      ・オペレーティング・リース取引
      →固定資産の賃貸借処理と同じ取引と考え、支払リース料として費用処理する。これは支払家賃などと同じ、経費の処理で、決算整理仕訳で経過勘定が出てきます。

      ■備品Cはファイナンス・リース取引
      オペレーティング・リース取引の場合、支払リース料という費用の勘定科目を使います。そして、決算整理仕訳で経過勘定を使って、未払いや前払いの調整を行います。
      ファイナンス・リース取引の場合、支払リース料という費用の勘定科目を使いません。そもそも支払リース料を使っていませんので、支払リース料に対応した経過勘定も発生しません。

      両者の違いは、減価償却による費用処理、支払リース料による費用処理の根本的な違いがあるため発生します。
      支払日とズレがある場合の決算整理仕訳をまとめたのが、本記事のリース取引の細かい論点ですので、ご参照ください。

      • かな より:

        ありがとうございました。

        ファイナンスリースとオペレーティングリースの違いに気を付けながら、この問題を何度も繰り返し練習しました。
        テキストにあるような下書きができるようになってきました。

        6月の試験に出るかな。。

        • パブロフくん より:

          解決したようでよかったです。6月の試験で出題されるといいですね♪

  • おめい より:

    こんにちは。大変参考にさせていただいております。

    ファイナンス・リース契約において、決算日と支払日が同一条件という前提で、問題にて単に「決算日につき、必要な処理を行う」と問われた場合の仕分けについて、減価償却の計上のみ記帳すればよいのでしょうか?支払い利息の計上等実施も併せて記帳する必要があるのでしょうか?

    • おめい より:

      併せての連投失礼いたします。「※ リース料の支払日が決算日と同じ場合は、経過勘定が発生しません。」との記載がございますが、前払いの場合には、経過勘定が発生するものと認識しておりますが、正しいでしょうか?

      • パブロフくん より:

        期中取引と決算整理仕訳を区別して考えると、決算整理仕訳ではどの仕訳を書くべきなのか、わかると思います。
        問題次第ですので、お使いの問題集の解答解説をご参照ください。

        前払いの場合、経過勘定が発生します。ブログの該当箇所を修正しておきました。

  • ゆうまママ より:

    いつも勉強の参考にさせていだだいていまあす。
    今仕事のリース料のことでわからないのでおしえていただきたいのです。
    〇〇会社に¥100,893支払。
    内訳(リース料108000/雑収7107)の場合
    伝票には、
    出金伝票  レンタル料 ¥108,000
    振替伝票  雑収7,107 /レンタル料7,107
    でいいのでしょうか?
    教えてください。

    • パブロフくん より:

      会計処理の相談は御社との顧問契約が必要となりますので、ブログのコメントでは対応しておりません。顧問税理士、会計監査人である監査法人の担当者の方にご相談して頂けますと幸いです。

  • いちやん より:

    こんにちは。リース資産はリース期間が終了したら、なくせばよいのですか?

    • パブロフくん より:

      こんにちは。
      リース会社に返却するさいに、下記の仕訳を書くことでリース資産と累計額を取り消します。
      リース資産減価償却累計額/リース資産

  • 猫も好き より:

    いつもお世話になっております。
    # テキスト買いました!

    パブロフ流でみんな合格 日商簿記2級 商業簿記 第三版の
    オペレーティングリース取引 (P176)
    の4コママンガですが、最後にパブロフくんが「今月分」と業者の人にお金を渡してますが、厳密に言うと「今年分」という事ではないでしょうか。

    5年均等払いとなっているので年額220円かなと思いました。

    • パブロフくん より:

      誤植がありまして、大変申し訳ございませんでした。
      オペレーティング・リース取引の4コマ漫画、今年分が正しいです。こちらから出版社に伝えておきます。ご指摘ありがとうございました。

      • 猫も好き より:

        すいません、確認したら出版社のHP上に問い合わせフォームが整備されていました。
        次回発見したらそちらから報告しておきます。

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