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繰越利益剰余金・その他資本剰余金の配当など

テーマ: 配当金の計算方法

2016年度の範囲改正により、簿記2級の学習内容が変更される論点です。その他資本剰余金の配当が新しく範囲になります。フライングで2016年2月の試験で出題されてしまいました。

パブロフくんう~ん…。

お兄さんパブロフくん、どうしたの?

パブロフくん配当金の計算が難しくて解けないの。

お兄さんそうなんだね。じゃ、一緒に復習してみよう。

 

繰越利益剰余金の処分

会社に投資をした株主は、見返りとして配当金を受け取ることができます。会社の今まで計上してきた利益が繰越利益剰余金に累積されており、この中から配当金を支払うことになります。このように繰越利益剰余金の使い道を株主総会(株主の会議)で決定することが会社法で規定されていますので、問題では『株主総会で繰越利益剰余金の処分が行われた』という文言が使われているのです。具体的にどのように解くのか、問題を見ていきましょう。

<問題>
次の取引について仕訳しなさい。
6月25日に開催された株主総会で、以下のように繰越利益剰余金の処分が行われた。
 配当金 ¥1,500
 新築積立金 ¥500
 利益準備金 会社法の定める必要額
なお、同社の資本金は¥10,000であり、資本準備金は¥2,000、利益準備金は¥400がそれぞれ既に積み上がっている。

<解答>
(借方)繰越利益剰余金 2,100(貸方)未払配当金 1,500
                    新築積立金 500
                    利益準備金 100

<解き方>
① 配当金¥1,500
→配当金を支払うことが確定した
→「未払配当金」【負債】、右に書く。

      /未払配当金1,500

②新築積立金¥500
→新築積立金を支払うことが確定した
→「新築積立金」【純資産】、右

      /未払配当金1,500
       新築積立金500

③利益準備金 会社法の定める額
1.資本準備金+利益準備金=2,400 が今の積立金
2.資本金÷4=2,500 までは積み立てが必要
3.今の積立金2,400<資本金÷4=2,500 → 積み立てが100不足している。
→配当する金額÷10=150を積み立てる必要があるが、3の積立不足が100なので、100だけ積み立てる。

※問題文の指示より、「利益準備金」として積み立てる。

      /未払配当金1,500
       新築積立金500
       利益準備金100

④繰越利益剰余金
「繰越利益剰余金」を取り崩したので、左に書く。
1,500+500+100=¥2100

繰越利益剰余金2,100/未払配当金1,500
           新築積立金500
           利益準備金100

 

利益準備金(会社法の定める額)の計算方法

会社法の規定を簡単に書くと、次のように定められています。

資本準備金+利益準備金)が、

資本金÷4)になるまで、

配当する金額÷10)を、

資本準備金または利益準備金として積み立てる。

 

では、どうやって計算するかを見ていきましょう。

1. 資本準備金と利益準備金をたす 今の積立金

2. 資本金÷4 までは積み立てが必要

3. 1>2であれば何もしない→もう十分に積み立てているので。
  1<2であれば、1が2の金額になるまで、(配当する金額÷10)を積み立てる

※資本準備金・利益準備金どちらを積み立てるかは、問題文の指示あり。

パブロフくんう~ん、難しいね。

お兄さん問題を解きながら覚えていくのが一番だよ。

パブロフくんあっ、あと、その他資本剰余金から配当する問題を見たんだけど。

お兄さん新しく範囲になった内容だね。簡単だからポイントを確認しよう。

 

その他資本剰余金の配当

繰越利益剰余金から配当する場合がほとんどですが、その他資本剰余金から配当する場合もあります。両社は資本剰余金と利益剰余金と区分が違うため、配当を行う場合にもそれぞれ準備金を分けて積み立てを行います。

純資産の区分 利益剰余金 資本剰余金
配当の財源 繰越利益剰余金 その他資本剰余金
準備金の積み立て 利益準備金 資本準備金

 

例題:株主への配当¥300,000を決定した。このうち¥100,000はその他資本剰余金を財源とし、¥200,000は繰越利益剰余金を財源とする。株主への配当に伴う準備金は、その他資本剰余金を財源とする配当については、その10分の1に相当する金額をその他資本準備金として積み立て、繰越利益剰余金を財源とする配当については、その10分の1に相当する金額を利益準備金として積み立てる。

<解答>
(借方)繰越利益剰余金220,000(貸方)未払配当金300,000
    その他資本剰余金110,000   利益準備金20,000
                   資本準備金10,000

<解き方>
① 繰越利益剰余金を財源とする配当。利益準備金の積み立ては問題文の指示に従い、10分の1を積み立てる。
 繰越利益剰余金220,000/未払配当金200,000
             利益準備金 20,000

② その他資本剰余金を財源とする配当。資本準備金の積み立ては問題文の指示に従い、10分の1を積み立てる。
 その他資本剰余金110,000/未払配当金100,000
             資本準備金 10,000

③ 上記の①と②を合算する。

 

パブロフくんそういうこと~。

お兄さん問題文に具体的な指示があるから、わかるようになっているよ。

パブロフくん計算方法を忘れたときはどうすればいいの?

お兄さんわからないときは、配当金÷10を利益準備金として仕訳を書こう。これで半分くらいの問題は正解できるよ。

パブロフくんなるほど~♪

おまけ 配当金と源泉徴収について

配当金と源泉徴収について学びましょう。当社が(1)配当金を支払う場合、(2)配当金を受け取る場合で仕訳が違いますので、どちらなのか間違えないように注意しましょう。

(1)当社が配当金を支払う場合、当社が株主の所得税を源泉徴収することがあります。当社の株主の所得税を預かっているだけですので、預り金を使って仕訳をします。これは従業員への給料の支払いの源泉徴収と同じ考え方です。

当社(源泉徴収)→株主

例題:当社は株主総会で決定された¥300,000の配当の支払いを行い、¥60,000の源泉所得税を控除後の残額を当座預金口座から各株主に対して振り込みを行った。

<解答>
未払配当金300,000/当座預金240,000
          預り金60,000

(2)当社が他社の株式を保有しており、配当金を受け取る場合は次の仕訳です。他社が当社の法人税等を前払いするため、仮払法人税等を使って仕訳します。

他社(源泉徴収)→当社(株主)

例題:本日、T社から配当金¥240,000(源泉所得税¥60,000控除後)を当座預金口座に入金を受けた旨の連絡を受けた。

<解答>
当座預金240,000/受取配当金300,000
仮払法人税等60,000

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コメント (10)
  • はぐりん より:

    繰越利益剰余金とその他資本準備金を財源とした配当のときの仕訳です。
    ページ上の例題で

    <解答>
    (借方)繰越利益剰余金220,000(貸方)未払配当金300,000
        その他資本剰余金110,000   利益準備金20,000
                       資本準備金10,000

    がありますが、これにさらに新築積立金と別途積立金がある場合です。
    その場合は、新築~と別途~は繰越利益剰余金から配当されている、というとこでよろしいのでしょうか?

    • パブロフくん より:

      株主総会では、配当の金額や積立金の決議を行います。
      積立金の決議が承認された場合、繰越利益剰余金を新築積立金、別途積立金に振り替えますが、これは配当ではありません。配当とは株主に配当金を支払うことです。新築積立金や別途積立金は利益の一部を新しい建物や設備投資のために積み立てておくための積立金で、配当とは違う内容です。繰越利益剰余金のままでは、配当の対象となってしまうので、繰越利益剰余金から積立金に振り替えておくことで、配当の対象外にしておきます。

  • Masa より:

    利益準備金の積立額の計算について質問があります。
    当期に会社の吸収合併があった場合、
    合併時に計上した資本準備金、資本金は
    利益準備金の積立額の計算時には考慮する必要はないのでしょうか?

    (単位:千円)
    資本準備金(期首):5,000
    利益準備金(期首):2,000
    資本金(期首):40,000
    配当金:2,000

    資本準備金(合併時):12,000
    資本金(合併時):10,000

    上記の場合で、会社法で規定する額の利益準備金を計上するという問題があり、
    200,000という解答(配当金の1/10)になっていました。

    合併時に計上した資本金、資本準備金を考慮すると
    準備金の合計額が資本金の4分の1を超えているため
    利益準備金を積み立てる必要はないと思ったのですが・・・

    • パブロフくん より:

      コメントありがとうございます。
      配当時の資本金、資本準備金、利益準備金で考えるのが正しいです。

      質問された問題では、時系列はどのようになっているでしょうか?
      6月に株主総会で配当が決まり、10月に合併した場合、配当時の利益準備の積み立てるの計算と合併は関係ありません。
      一方、5月に合併があり、6月に株主総会で配当が決まった場合には、合併により増減した準備金を考慮する必要があるため、配当金に関して利益準備金を積み立てる必要はありません。

      なお、問題の小問が(1)配当金の問題、(2)合併の問題、と分かれている場合は、時系列も(1)のあとに(2)が起きたと考える必要があります。
      詳しくは問題を作成された方、または出版社にお聞きしてみてはいかがでしょうか。

      • Masa より:

        返信ありがとうございます。
        なるほどです。時系列について失念していました。
        ご指摘の通り、問題では6月に配当が決まり、
        翌年1月に合併と記載がありました。
        お陰様で、勉強が捗りました。

  • はる より:

    ありがとうございます。
    スッキリしました。

  • はる より:

    配当金を受け取る際の仕訳で質問があります。
    源泉所得税60,000円の控除額は仮払法人税等で仕訳するのは分かりましたが、
    決算時は、中間納付した仮払法人税等とこの控除額は合算して計算して良いという事でしょうか?
    例えば、中間納付で100,000円納付していた場合
    法人税等 200,000  仮払法人税等
               (中間納付+控除額)160,000
               未払法人税等     40,000
    となりますか?

    • パブロフくん より:

      はい、そのように考えて間違いありません。
      仮払法人税等は法人税等の前払いですから、中間納付と源泉徴収もどちらも同じです。
      ですので、期末日の決算整理仕訳で仮払法人税等160,000を全額取り崩す、と考えて頂いて問題ありません。

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