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純資産(会社設立と増資、創立費と株式交付費の違い)

テーマ: 純資産(設立、増資)

2016年度の範囲改正により、簿記2級の学習内容が変更される論点です。純資産の評価・換算差額等として、その他有価証券評価差額金が新しく範囲になりました。

パブロフくん資本金と資本準備金ってちがうもの?

お兄さんお、難しいこと勉強してるね。ちがうものだよ。

パブロフくんどこがちがうの?

お兄さん会社法で決まっているんだけど、、、話すと長くなるよ?

パブロフくんいやー。じらさないでー。

お兄さん途中で寝ない? 大丈夫?

パブロフくんパブロフ知りたい!

お兄さんじゃあ説明するね。設立と増資はよく出るから、しっかり覚えておこう。

 

純資産

純資産については、会社法(会社についての法律)で名称やルールが決まっていて、実務もそれに従って処理しています。日商簿記2級で出てくる純資産は次のとおりです。



株主資本 資本金
新株申込証拠金
資本準備金 資本準備金
その他資本剰余金
利益剰余金 利益準備金
任意積立金
繰越利益剰余金
評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金

資本金
設立や株式発行のときに、株主が会社に対して払ったお金のうち、「資本金」とした金額。いくら「資本金」にすればよいかは、会社法で決まっている。具体的には、設立や株式発行のときに、株主が会社に対して払ったお金のうち、半分以上を資本金とする必要がある。

資本準備金
設立や株式発行のときに、株主が会社に対して払ったお金のうち、「資本金」としなかった残りの金額。

利益準備金
会社法の定める必要額を積み立てるもの。会社法で、積み立てが義務付けられているもの。

任意積立金
資本準備金や利益準備金のように、会社法で積み立てが義務付けられているわけではなく、会社が独自に積み立てている積立金。
例:別途積立金、新築積立金など

繰越利益剰余金
会社がこれまでに稼いだ利益のうち、配当せずに残っている金額。当期の利益だけでなく、前期までの利益も含まれている。

 

パブロフくん設立のお金、ぜんぶ資本金にした方が仕訳も楽でいいんじゃないの?

お兄さん資本金を少なくした方が税金の支払額が減らせるんだよ。 

パブロフくんえっ!そうなの!?

お兄さんうん、そうだよ。ただ、少ない方が良いってわけでもないんだ。もし、会社の規模を大きく見せたいなら、全額資本金にした方がいいんだよ。目的に応じて、だね。

 

会社設立と増資の違い

純資産の問題は会社設立と増資(新株の発行)がよく出題されます。両者で新株の発行にかかる諸費用の勘定科目名が違うため、間違えやすいのです。設は創費を使うので立セットと覚えておきましょう。

  両者の違い 諸費用の科目名
設立 初めて会社を作ったとき 創立費
増資 会社設立後に資本金を増やすとき 株式交付費

 

創立費
会社の設立準備のためにかかった費用。定款作成費用・株式募集のための費用などが創立費に含まれる。原則として費用として処理する。

※繰延資産として資産になる場合もあるが、2016年6月以降は簿記1級の範囲に変更された。

株式交付費
新しく株式発行するときにかかる費用。株式募集のための広告費・金融機関の手数料などが株式交付費に含まれる。原則として費用として処理する。

※繰延資産として資産になる場合もあるが、2016年6月以降は簿記1級の範囲に変更された。

参考:開業費
創立費と似ている勘定科目に開業費があります。開業費は、会社設立後から営業を開始するまでの間にかかった諸費用のことを言います。会社の設立は、登記が完了した日となりますが、実際には銀行口座の開設や事務所の契約、パンフレットの作成など、営業活動を開始する前に必要な作業を行うことになります。この作業でかかった費用は開業費という勘定科目に計上します。

創立費・・・設立前~会社設立までの諸費用
開業費・・・会社設立後~営業開始の諸費用

次の取引について仕訳しなさい。会社設立の仕訳

当社は、設立にあたって発行可能株式総数1,000株のうち100株を1株¥50で発行し、その全額について引受け・払込みを受け、払込金については当座預金とした。ただし、会社法に規定する最低限度額を資本金に計上することとした。なお、設立準備のために発起人が立て替えていた諸費用¥250を現金で支払った。

<解答>
(借方)当座預金 5,000 (貸方)資本金 2,500
                 資本準備金 2,500
    創立費   250     現金 250

<解き方>
① 払い込みを受けた金額を当座預金としたので、左に書く。
100株×@¥50=¥5,000

 当座預金5,000

② 『会社法に規定する最低限度額を資本金に計上』との指示があるので、資本金を限界まで少なくする。
→払い込みを受けた金額の半分¥2,500が限界。
→右に「資本金」と書く。

 当座預金5,000/資本金2,500

③ 払い込みを受けた金額のうち「資本金」としなかった残りの金額
→「資本準備金」として右に書く。

 当座預金5,000/資本金2,500
        資本準備金2,500

④ 設立準備のための費用を「現金」で支払ったので、右に書く。

     /現金250

⑤ 設立準備のための費用は「創立費」を使う。左に書く。

 創立費250/現金250

 

増資(新株発行)の仕訳

次の取引について仕訳しなさい。
増資にあたり1株につき@¥80で新株発行した。発行株式数は100株とし、全株について引受け、払込みを受けた。払込金は当座預金とし、会社法における最低限度額を資本金に計上した。増資のために要した手数料¥300は現金で支払った。

<解答>
(借方)当座預金  8,000 (貸方)資本金  4,000
                 資本準備金 4,000
    株式交付費 300      現金  300

<解き方>
① 払い込みを受けた金額を当座預金としたので、左に書く。
 100株×@¥80=¥8,000

 当座預金8,000

② 『最低限度額を資本金』との指示がある。
→払い込みを受けた金額の半分¥4,000を資本金とする。
→「資本金」を右に書く。

 当座預金8,000/資本金4,000

③ 払い込みを受けた金額のうち「資本金」としなかった残りの金額
→「資本準備金」として、右に書く。

 当座預金8,000/資本金4,000
         資本準備金4,000

④ 増資のために要した費用を「現金」で支払ったので、右に書く。

       /現金300

⑤ 増資のために要した費用は「株式交付費」を使う。左に書く。
 株式交付費300/現金300

 

パブロフくん創立費と株式交付費がゴチャゴチャになっちゃう。

お兄さんのときは創費だから、「立セット」と覚えると簡単だよ。

パブロフくんいいね、それ。やっと純資産、終わり~♪

お兄さんいや、まだ残っているよ。配当の話は次回だね。

パブロフくんえっ…。

 

関連ページ

繰越利益剰余金・その他資本剰余金の配当など

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コメント (9)
  • まる より:

    こんにちは!いつもお世話になっております!

    当該範囲について、テキストや色んな解説サイトを見るときに疑問に思うのですが、この資本金や株式発行にかかる2級の新範囲に関する解説は、あくまでも「株式会社」である前提の内容だと理解していいのでしょうか?!もしくは、合資会社や有限会社などすべての「会社(法人)」について当てはまるんでしょうか…。

    ややこしい質問ですみません。
    もし、可能でしたらご教授お願い致します!

    • パブロフくん より:

      簿記2級は株式会社です。テキストで紹介されていない=範囲ではないと考えて頂いて結構です。
      株式会社が世の中のほとんどですので。

      • まる より:

        ご回答ありがとうございます!

        読みながら、きっとそうなんだろうなぁ..と漠然としていた部分だったのではっきりして良かったです!

        会社についてもっと良く分かっていれば疑問にも思わなかったのかもですが(^o^;)!
        引き続き今後ともお世話なります😆❕

  • モンペリエ より:

    創立費と株式交付費の解説部分、
    黄色アミ掛けの注釈
    ※繰延資産として資産になる場合もあるが、2106年6月以降は簿記1級の範囲に変更された。
    は「2016年6月」ですかしら?
    コメント掲載不要です

  • 簿記2級受験生 より:

    御丁寧な解説,誠にありがとうございます。
    よく分かりました!
    >3.株式会社が登記され、設立が完了する。(会社設立の仕訳はここで発生。上記2.のお金もここで返済する。)
    これも,普通の会社では創立費は設立完了時に返済される(返済が設立から半年後になるとかいう想定も不要)という前提でよろしいのですね。
    すみません,職業柄なのか,イレギュラーな場合がないかを考える癖がついておりまして…。

  • 簿記2級受験生 より:

    初めまして。初めて質問させていただく者です。
    創立費に関して,発起人が立て替えたからといって「立替金」を使わないことは理解いたしました。しかし,ふと疑問がわいてきまして・・・。

    ①発起人以外の人が立て替えることはあるのでしょうか。「会社の負担に帰すべき設立費用」という定義からすると,発起人以外が負担することがあるようにも思ってしまいます。
    仮に発起人以外の人が立て替えることがあり得るとして,その場合でも「創立費」でよろしいでしょうか。

    ②「発起人が立て替えた」となっていれば,その支払は必ず創立費としてよろしいでしょうか。会社が発起人から借り入れたものであって,借入金(の弁済)だ・・・という構成をとるということはあり得ますでしょうか。

    上記のような引っ掛けが出ないか,疑心暗鬼の状態です・・・。
    御多忙のところ申し訳ございませんが,何とぞお知恵を拝借できれば幸いです。

    • パブロフくん より:

      コメントありがとうございます。
      そのようなひっかけ問題は出題されませんので、ご安心ください。
      テキストや問題は実務に沿った内容になっておりますので、書いていない内容を想定する必要はありません。

      <仕訳>創立費250/現金250
      (1)何に使った費用=会社設立のための費用が創立費ということです。この仕訳の、左の創立費250が会社設立のために使った費用です。
      (2)一方、誰に払ったのか、は右の現金250です。発起人であっても、他の株主であっても、司法書士であっても、部外者の友人であっても、その人に会社が現金を支払うだけです。誰に払うのか、が変わったとしても勘定科目は変わりません。

      時系列を考えてみましょう。
      1.株式会社を設立するメンバーを確定、会社名や役員など、詳細を決める。
      2.定款の作成、登録免許税、司法書士への支払手数料などを支払い、会社設立の手続きを進める。(誰かがお金を払う)
      3.株式会社が登記され、設立が完了する。(会社設立の仕訳はここで発生。上記2.のお金もここで返済する。)

      株式会社が設立する前に、1~2の段階で会社がお金を借りることはできません。会社が存在しないわけですから、借入金という勘定で仕訳をすることもありません。
      そこで、会社が設立するまでの間については、会社の設立者である発起人が、会社設立に必要な支払を代わりに行い、会社設立後に会社からお金を受け取ります。これが一般的な会社設立の流れで、テキストや問題もこの流れで説明をしています。
      取引の流れ、時系列、誰が誰に取引をするのか、を考えると理解が深まると思います♪

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