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連結会計③ 連結修正仕訳と問題の解き方

テーマ:連結会計

連結会計①全体像と手続きでは連結会計についてざっくり説明し、連結会計②学習方法では連結会計の学習方法について説明しました。今回は、連結会計の連結修正仕訳と問題の解き方について説明します。

もくじ
連結会計① 全体像と手続き
連結会計② 試験範囲と学習方法
連結会計③ 連結修正仕訳と問題の解き方(今回)

 

連結会計のしくみ

パブロフくん連結会計については大体わかったけど、具体的には何をするの?

お兄さん具体的な計算や仕訳の前に「連結会計のしくみ」を説明するね。

パブロフくんお願いします~♪

連結会計のしくみは上の図のように、各年度ごとに「個別財務諸表の合算」「連結修正仕訳」を行い、連結財務諸表を作成します。ポイントは2つです。

1つ目は「親会社の個別財務諸表+子会社の個別財務諸表±連結修正仕訳=連結財務諸表」だということ。これは連結会計①で説明済みです。

2つ目は「当年度に書いた連結修正仕訳は、翌期に自動には引き継がれない」ことです。詳しく見ていきましょう。

◆X1年3月31日 支配獲得日
支配獲得日に連結修正仕訳を書き、支配獲得日の連結貸借対照表を作成します。

◆X2年3月31日 連結第1年度
連結第1年度は、X1年4月1日からX2年3月31日までの親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表を出発点にして始まります。このため、支配獲得日に書いた連結修正仕訳は反映されません

そこで必要になるのが開始仕訳です。開始仕訳とは、前期に書いた連結修正仕訳をもう一度書くことです。これを考えた人はスゴイですね~。

このように連結会計は、個別財務諸表を出発点にするので、前期までに書いた連結修正仕訳を開始仕訳で引き継ぎます

連結第1年度の場合、支配獲得日に書いた連結修正仕訳が開始仕訳になります。そして、新しく連結第1年度に発生する連結修正仕訳を書きます。つまり、連結第1年度の連結修正仕訳には、開始仕訳と新たに発生した連結修正仕訳の2つが含まれることになります。

連結第2年度の場合、連結第1年度の連結修正仕訳(支配獲得日と連結第1年度に発生したもの)が開始仕訳になります。そして、新しく連結第2年目に発生する連結修正仕訳を書きます。

もし、連結第12年度ともなると、支配獲得日から連結第11年度までに書いた膨大な連結修正仕訳を開始仕訳にする必要があります。すべて手で書くと大変です。コンピュータの時代(会計ソフトが進化した時代)だからこそできる会計なのかもしれませんね。

 

パブロフくんえっ!?11年分の連結修正仕訳を開始仕訳にしなきゃいけないの?

お兄さんそうだよ。でも試験では時間が限られているから、支配獲得日や連結第1年度~2年度の問題が多いね。

パブロフくんあーよかった。

 

連結修正仕訳とは

ここからは具体的な連結修正仕訳について学習します。連結会計は、親会社と子会社の個別財務諸表を合算したものから、連結グループ全体の連結財務諸表を作成します。単純に合算しただけでは、連結グループ全体の財産や損益を正しく表せません。そこで連結修正仕訳を行うことで、連結グループ全体の財産や損益を正しく表すことができます。つまり、連結修正仕訳とは、連結上あるべき状態にするために必要な修正仕訳のことなのです。

親会社の個別財務諸表子会社の個別財務諸表 ±連結修正仕訳連結財務諸表

連結修正仕訳が必要な理由

わかりやすい例を使って説明します。
親会社が1万円で仕入れた商品を子会社に100万円で売りました。後日子会社は外部のT社へ1万円で売りました。損益計算書は次のようになります。
親会社の損益計算書 売上高100万円、売上原価1万円
子会社の損益計算書 売上高1万円、売上原価100万円
   ↓
合算した損益計算書 売上高101万円、売上原価101万円

連結グループ全体で考えると、1万円で仕入れた商品を外部のT社へ1万円で売っただけです。しかし、合算した損益計算書では、101万円で仕入れた商品を外部へ101万円で売った、と読めてしまいます。この数字を見ただけでは、大きな金額の取引をしている会社と勘違いをしてしまう恐れがあり、正しい金額が表示されているとはいえません。このため、下記の連結修正仕訳を行い、連結グループ全体の正しい損益を表示します。

<連結修正仕訳>
売上高1,000,000 / 売上原価1,000,000

連結損益計算書 売上高1万円、売上原価1万円

この話は本支店会計の内部取引の相殺と同じですね。しかし、連結会計では、親会社と子会社の財務諸表を合算していますので、本支店会計とは異なる処理が必要になります。こちらも例を使って見ていきましょう。

投資と資本の相殺消去

親会社と子会社の個別財務諸表を合算します。(ここでは支配獲得日には連結貸借対照表のみ作成すると仮定します。理由はお手持ちのテキストをご覧ください)

ここで、連結上あるべき状態とは何か考えてみます。個別財務諸表は、親会社も子会社も1つの独立した会社として作成していました。

しかし連結会計の視点から見ると、2つの会社は1つの連結グループです。連結財務諸表はこの連結グループを1つの会社と見立てて連結グループ外部へ公表するための書類なのです。

この合算した貸借対照表の借方に子会社株式がありますが、同じ連結グループ内の株式を貸借対照表に表示しておくのはおかしいです。このため、連結修正仕訳が必要になります。これを投資と資本の相殺消去といいます。

以上のように、連結グループ全体の正しい財産や損益を表すために、連結修正仕訳が必要になるのです。親会社と子会社の取引を調整している、というイメージを持つとわかりやすいです。

補足①:投資と資本とは
投資とは、子会社株式のことで、親会社の立場では、会社にある現金預金を使って株式に投資をするため、このように呼ばれます。資本とは、子会社の純資産のことです。

補足②:連結会計の考え方(上級者向け)
財務諸表とは、株主に当期の財産と損益の状況を表すために作成します。連結財務諸表では、連結グループのトップである親会社の株主に対して、当期の財産と損益の状況を説明する必要があります。このような考え方が連結会計の基本となっているため、連結損益計算書の当期純利益を親会社株主に帰属する当期純利益、非支配株主に帰属する当期純利益に分けて表示しています。連結貸借対照表でも、親会社株主の純資産を表すため、資本金、資本剰余金は親会社の資本金、資本剰余金と同じ金額になります。利益剰余金は、親会社の利益剰余金と「支配獲得後に支配獲得後に子会社で増加した利益剰余金×子会社株式の保有割合」を合計した金額になります。

 

連結修正仕訳の種類

連結修正仕訳は、次の一覧表のように整理することができます。「支配獲得日」「連結第1年度」「連結第2年度」の区切りで覚えるのがコツです。
けっこうな数があるので「まだあるの!?」「全部覚えられないよ!」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的な連結修正仕訳である(2)(4)(6)を覚えておけば、残りの仕訳を書くことができます。テキストで、それぞれの連結修正仕訳の書き方を詳しく説明していますので、必ずテキストを使って学習してください。テキストに書いてある内容の質問は返信しませんので、ご了承ください。

<連結修正仕訳の種類のポイント>
・連結の年度は?
・子会社株式の持分割合は?
・のれんが発生するか?
・ダウンストリームか、アップストリームか?
(アップストリームは平成30年6月から新範囲)

 

一覧表(2)支配獲得日の連結修正仕訳

X1年3月31日に子会社株式を2,600円で発行済み株式総数の80%を取得し、子会社の支配を獲得しました。X1年3月31日、決算で親会社は親会社の個別財務諸表、子会社は子会社の個別財務諸表を作成します。親会社と子会社、それぞれの会社の決算が終わったら、連結会計の始まりです!

1.親会社の個別貸借対照表と子会社の個別貸借対照表を合算する

2.連結修正仕訳を書く
①投資と資本の相殺消去
❶子会社株式をゼロにするので、右に書く。
❷子会社の純資産をゼロにするので、左に書く。
❸子会社の株式は、親会社が80%を保有し、それ以外の株主である非支配株主が20%を保有。子会社の純資産のうち、非支配株主の持分割合20%に対応する金額を非支配株主持分に計上する。右に書く。
❹貸借差額が左側なので、のれんと書く。

資本金2,000
資本剰余金600
利益剰余金400
のれん200
子会社株式2,600
非支配株主持分600

3.合算した貸借対照表に連結修正仕訳を反映させて連結貸借対照表の完成

パブロフくんなーんだ。けっこう簡単だね♪

お兄さん連結開始日は簡単なんだ。次は連結第1年度だね。

 

一覧表(4)連結第1年度の連結修正仕訳

X2年3月31日、決算で親会社は親会社の個別財務諸表、子会社は子会社の個別財務諸表を作成します。

1.親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表を合算する

2.連結修正仕訳を書く
連結第1年度は、子会社との取引が行われているので、資本連結(①~④)だけでなく成果連結(⑤~⑦)を行う必要があります。

◆資本連結
X1年3月31日に書いた連結修正仕訳は引き継がれていないので、もう一度書きます。これを開始仕訳といいます。

①開始仕訳
まず、支配獲得日に書いた連結修正仕訳を書きます。次に、純資産の勘定科目に(期首)を付け加え、収益費用の勘定科目を利益剰余金(期首)に書き換えます。

資本金2,000
資本剰余金600
利益剰余金400
のれん200
子会社株式2,600
非支配株主持分600

  ↓開始仕訳に書き換える

資本金(期首)2,000
資本剰余金(期首)600
利益剰余金(期首)400
のれん200
子会社株式2,600
非支配株主持分(期首)600

②のれんの償却
のれんの償却を行います。問題では支配獲得日の翌期から10年間で償却することが多いです。

のれん償却20 のれん20

③子会社の当期純利益の振り替え
子会社の当期純利益のうち、非支配株主の持分割合に対応する金額を非支配株主に帰属する当期純利益非支配株主持分に振り替えます。

非支配株主に帰属する当期純利益40 非支配株主持分40

④子会社の配当金の修正
連結財務諸表では、親会社の株主に対する配当金のみを表示する必要があるので、子会社の配当金を修正します親会社では受取配当金として仕訳済みなので、取り消します。非支配株主に対する受取配当金は非支配株主持分から減額します。

受取配当金80
非支配株主持分20
利益剰余金100

◆成果連結
⑤内部取引・債権債務の相殺消去
連結会社間の取引を相殺します。

売上高10,000
買掛金1,000
売上原価10,000
売掛金1,000

⑥貸倒引当金の調整
上記⑤で相殺消去した売掛金1,000に対する貸倒引当金を減額します。

貸倒引当金20 貸倒引当金繰入20

⑦未実現利益の消去
期末商品に含まれる未実現利益の消去(ダウンストリーム)の仕訳を書きます。

売上原価20 商品20

3.合算した損益計算書、株主資本等変動計算書、貸借対照表に連結修正仕訳を反映させて連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結貸借対照表の完成

 

パブロフくんたくさん出てきたよ。パブロフ、ピンチ…

お兄さん連結修正仕訳は①~⑦の7つの仕訳、と考えると覚えやすいよ。最後は連結第2年度以降の仕訳だね。

 

一覧表(6)連結第2年度以降の連結修正仕訳

X3年3月31日、決算で親会社は親会社の個別財務諸表、子会社は子会社の個別財務諸表を作成します。

1.親会社の個別財務諸表と子会社の個別財務諸表を合算する

2.連結修正仕訳を書く

◆資本連結
連結第1年度に書いた連結修正仕訳は引き継がれていないので、開始仕訳として書きます。

①開始仕訳
まず、支配獲得日に書いた連結修正仕訳を書きます。次に、純資産の勘定科目に(期首)を付け加え、収益費用の勘定科目を利益剰余金(期首)に書き換えます。

❶連結第1年度の資本連結を開始仕訳にする

資本金(期首)2,000
資本剰余金(期首)600
利益剰余金(期首)400
のれん200
子会社株式2,600
非支配株主持分(期首)600
のれん償却20 のれん20
非支配株主に帰属する当期純利益40 非支配株主持分40
受取配当金80
非支配株主持分20
利益剰余金100

  ↓開始仕訳に書き換える

資本金(期首)2,000
資本剰余金(期首)600
利益剰余金(期首)400
のれん200
子会社株式2,600
非支配株主持分(期首)600
利益剰余金(期首)20 のれん20
利益剰余金(期首)40 非支配株主持分(期首)40
利益剰余金(期首)80
非支配株主持分(期首)20
利益剰余金(期首)100

 ↓同じ勘定科目を集計する

資本金(期首)2,000
資本剰余金(期首)600
利益剰余金(期首)440
のれん180
子会社株式2,600
非支配株主持分(期首)620

❷連結第1年度の成果連結を開始仕訳にする
連結第1年度の⑤内部取引・債権債務の相殺消去で書いた連結修正仕訳は、開始仕訳として書かないルールがあります。

売上高10,000
買掛金1,000
売上原価10,000
売掛金1,000
貸倒引当金20 貸倒引当金繰入20
売上原価20 商品20

 ↓開始仕訳に書き換える

貸倒引当金20 利益剰余金(期首)20
利益剰余金(期首)20 商品20

②のれんの償却

のれん償却20 のれん20

③子会社の当期純利益の振り替え

非支配株主に帰属する当期純利益80 非支配株主持分80

④子会社の配当金の修正

受取配当金160
非支配株主持分40
利益剰余金200

◆成果連結
⑤内部取引・債権債務の相殺消去
連結会社間の取引を相殺します。

売上高30,000
買掛金3,000
売上原価30,000
売掛金3,000

⑥貸倒引当金の調整
上記⑤で相殺消去した売掛金3,000に対する貸倒引当金を減額します。ただし、①成果連結の開始仕訳で、貸倒引当金20については調整済みなので、不足額40を調整します。

貸倒引当金40 貸倒引当金繰入40

⑦未実現利益の消去
期首商品期末商品に含まれる未実現利益の消去(ダウンストリーム)の仕訳を書きます。

商品20 売上原価20
売上原価40 商品40

※これは「しーくりくりしー」に対応しています(詳細はテキスト参照)。厳密に説明すると、期首商品については、開始仕訳で未実現利益の消去を行っており、当期に期首商品は販売済み=未実現利益が実現したので、開始仕訳の取り消しを行っています。

3.合算した損益計算書、株主資本等変動計算書、貸借対照表に連結修正仕訳を反映させて連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結貸借対照表の完成

 

パブロフくん…しーん

お兄さん最初からこれを覚えるのはつらいと思うけど、問題を解きながら7つの仕訳の書き方を慣れていけば大丈夫だよ。

パブロフくんそ、、、そうだね。

お兄さんまずはテキストの練習問題を解いてみよう。

パブロフくんうん、わかったよ。そういえば、子会社株式を100%保有している場合や、のれんが出てこない場合はどうすればいいの?また仕訳を覚えなきゃダメなの?

お兄さん上で説明した3パターンを覚えておけば対応できるよ。子会社株式を100%保有している場合は、非支配株主の持分割合を0%として仕訳を書けばいいだけだね。のれんが出てこない場合は、のれん0とすればいいね。

パブロフくんなるほど。3パターンを覚えればいいんだね♪

 

連結精算表と連結財務諸表の動画解説はこちらの11~15を参考にしてみてください。

 

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